博士進学に悩んでいる…本当に進学していいのだろうか?
むしろ進学を諦めた人たちはどういう理由だったのだろう?
修士で研究職に就いた人たちの意見を聞いてみたいです。
当記事では上記の疑問にお答えいたします。
本記事の内容
- 自分が博士進学を諦めて就職を決意した5つの理由
- 博士進学を諦めるのは「逃げ」じゃない
大学を修士課程で卒業後、企業で日々研究に取り組んでいるくりぷとバイオ(@cryptobiotech)と申します。
学士~修士の3年間の成果で筆頭著者論文2報・共著1報を運良く出せましたが、博士には進学せずにそのまま企業就職しました。
当記事では「なぜ自分が修士卒研究職を選んだのか?」について当時の葛藤を暴露します。
当時の僕と同じく、博士進学するか死ぬほど悩んでいる方に向けて。
結論を先に言っておくと、博士進学しなくても普通に企業で研究はできるし、さらには企業でPh.D取得の道もあります。
「博士持っていないと将来研究できなくなるよ?」みたいなご意見も確かにわかりますが、それが不安なら企業で取得できます。
もしあなたが博士進学を悩んでいるのであれば、当記事はあなたのお役に立つはずです。
当記事は数分で読めるので、是非ともどうぞ!
目次
自分が博士進学を諦めて就職を決意した5つの理由
僕が博士進学を諦めて就職を決意した理由は以下の通りです。
順々に説明していきます。
金銭面に不安がありすぎたから
僕が博士進学を諦めた最大の理由は単純に「お金が無かったから」です。
僕が育った家庭は中々の貧乏でして、大学時代に必要なお金は奨学金とバイトで全てまかなっていました。
授業料全額免除や給付型奨学金のおかげでなんとかやってこれましたが、「こんな極貧生活をあと3年もするの…?」と早く卒業したい欲が強かった。
もちろん学振は考えましたし、学振書類を提出する時期に筆頭著者論文も投稿していたので「通るだろう」という期待・自負はありました。
でも万が一のリスクを考えたとき、僕には「就職」よりも「博士進学」の方がよっぽど難易度高かったですね。
だったら「修士で筆頭著者論文を投稿した」という実績を活用して、就活でアピールした方がいいだろうと感じました。
結果論ではありますが、修士卒で研究職に就いてもなんとかやれていることを考慮すると、あの時の選択は間違っていなかったですね。
金銭面に不安がある学生は、研究が好きでも、研究に自信があっても、修士で就職を意識しておくべき。
企業でPh.Dを取得できるならそっちの方が良いのでは?と思ったから
僕は「企業でPh.D取得したらいいのでは?」とずっと思っていたので進学はしませんでした。
というのも「中央教育審議会大学分科会大学院部会(第81回)」のような情報があることを知っていたからです。
以下の情報は上記リンク先から抜粋した内容です。
- 平成28年度の全博士課程入学者のうち、41.4%は社会人博士
- 平成28年度の社会人博士率は昭和62年~平成28年の間で最多
- 「社会人配慮の入学者選抜」「夜間開講」「サテライトキャンパス」など学修しやすくなるための配慮が提供
要は、社会人でPh.D取得を目指す人が増え、その結果「社会人博士」を支援する制度が着実に整ってきているということ。
実は院生の頃からこういった情報はちょくちょく目にしていたので、なおさら「無理して進学する必要はない」と思っていました。
「研究を仕事にするならPh.Dを持っていた方が良い」
これは僕も間違いなく「Yes」と答えます。
でも「Ph.Dを獲れれば研究職に就けるか」と問われれば、必ずしも「Yes」とは言えません。
Ph.D取得はできたけど研究職に就けなかったという人を何人も知ってます。
「別に3年でPh.D取れなくても企業で取得できるなら…」と思うなら、無理して博士進学しなくても良いと考えます。
スポンサードリンク
研究を“人生”にするつもりがなかったから
僕は「研究を人生にしたい人」ではなかったので、博士進学はやめました。
「研究を人生にしたい人」とは「企業でもアカデミアでも一生研究をしていたい人」だと解釈してください。
僕はそういうタイプではなく「別に開発職でも生産職でも技術営業職でも良い」と思うタイプでした。
「研究に一生こだわるつもりがないのに、わざわざ進学する必要あるのか…?」
と当時はめちゃくちゃ葛藤していたのを覚えています。
もちろんPh.Dという資格が人生で強力な武器になるのは間違いないです。
ただ、その資格を得るのは「自分が企業で“研究職”のボジションとして期待されるようになってから」で良いのではと考えます。
「Ph.D取得→企業に入社したら開発職配属→全然研究できないのがストレスで辞める」
みたいな事例もちらほら耳にしますので、修士で研究職(研究開発職・R&D職)に入れるならそれに越したことはないです。
「謎の解明」よりも「モノづくり」に早く活きる研究がしたかったから
研究室でやっている基礎研究も面白かったのですが、「謎の解明」よりも「モノづくり(どちらかと言えば応用研究)」に活きる研究がしたかったというのが理由の1つです。
アカデミアは論文化が1つのゴールなわけですが、個人的には「論文書けるのは良いけど、これ“いつ”世の中の役に立つんだ?」と思っていました。
企業では「モノづくり」のために研究するので、「良い成果が出る=開発行き」が前提です。
個人的には「この研究成果が出れば製品化に直結する」というのがモチベーションになるので、修士で研究職に飛び込むことにしました。
「研究もしたいけどモノづくりの方が興味ある!」という修士課程の学生は、企業への就職が良いと考えます。
早めに結婚したいと思っていたから
これは完全プライベートな話ですが、僕は早く結婚したかったので進学は諦めました笑
妻(@bio_koropochi)とは大学時代からの長い付き合いでして、博士進学したら3年婚期が遅くなるのか…と当時は思っていました。
僕はお世辞でも「イケメン」とは言えない風貌なので(涙)、今の妻と別れたらもう一生結婚できないのでは?と不安でした。
もちろん結婚願望が全くない人なら博士進学しても何も問題ありませんよ。
が、結婚願望ある人だと修士卒の同期が3年目くらいで結婚していく姿を遠目で見るのはけっこう焦ると思います。
「私(妻)と研究、どっちが大事なの?」という究極の選択で妻を選びたい人は、全力で修士卒で企業研究職を目指すべし。
スポンサードリンク
博士進学を諦めるのは「逃げ」じゃない
- 金銭面に不安がありすぎたから
- 企業でPh.Dを取得できるならそっちの方が良いのでは?と思ったから
- 研究を“人生”にするつもりがなかったから
- 「謎の解明」よりも「モノづくり」に特化した研究がしたかったから
- 早めに結婚したいと思っていたから
というわけで僕が博士進学を諦めて就職した理由を解説しました。
博士進学をやめる理由は人それぞれですが、「こういうのが理由で諦めた人もいるんだ」と参考にしてもらえたら嬉しいです。
博士課程に諦めるのは別に「逃げ」でも何でもないので、修士で企業に入りたいなら安心して入れば良いと思います。
もしあなたも進学に悩んでいるのであれば、ぜひ修士で研究職の扉を叩いてみてくださいね。
というわけで当記事は以上です。
当記事が参考になったら、ぜひくりぷとバイオ(@cryptobiotech)のTwitterもフォローしてやってくださいませ。
ではではっ
以下、関連記事はこちらからどうぞ!