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企業研究職

社会人から博士課程進学するメリット・デメリット5選【修士卒研究職の視点から】

バイオさん
バイオさん
修士課程を卒業後、現在は大手メーカーの研究職に従事する、くりぷとバイオです。
Twitter:@cryptobiotech
社会人から博士課程進学するメリット・デメリットって何ですか?

メリット
・「博士号を持っていない」劣等感から解放
・金銭的不安がない状態から取得を目指せる
・入社後の職種ミスマッチを回避してから取得できる
・自分の卒業後の就職先を心配しなくて良い
・最悪、博士号を取得できなくてもダメージは最小限

デメリット
・仕事、家族、+α(博士課程)はやはり厳しい
・別に博士号を取得したから出世できるわけでもない
・論文執筆は業務外でやることになる可能性あり
・社内で博士号取得について揉め事になる可能性あり
・異動・海外転勤で諦めざるを得なくなる可能性あり

こんな悩みを解決できる記事を用意しました。

 

ここで解説する『社会人から博士課程進学するメリット・デメリット』を把握すれば、修士卒で研究職に就いてからのキャリア戦略に役立つになるでしょう。

また、もしあなたが修士課程学生であれば「そのまま博士進学するか?就職してから博士進学するか?」の悩みを解決する一助になるはずです。

 

当記事では企業研究職として3年以上の経験を積み、かつ現在(2020年4月時点)博士号取得に向け邁進している自分が社会人から博士進学するメリット・デメリットを赤裸々に解説します。

 

「修士卒で企業に入ったら博士号取得はもう無理なの?」

「修士卒で研究職に配属されたけど、博士号って狙えるのかな?」

 

と1ミリでも思ったことがあるなら、ぜひ当記事をご一読ください。

数分で読めますので、作業の合間の小休憩時にでもご覧いただければ幸いです。

 

社会人から博士課程進学するメリット5選

社会人が博士号取得に向け文献を調べているところ

修士卒研究職が考える「社会人→博士進学するメリット」は以下の通りです。

ご覧になりたい項目をクリックすると、読みたい情報にすぐ飛べます!

 

 

順々に解説していきますね。

 

「博士号を持っていない」劣等感から解放(キャリアにも活きる)

博士号を持っておらず劣等感に悩む修士卒研究職

修士卒研究職の方だけが持つ悩み?かもしれませんが「研究やってるのにPh.D持ってないんだよなあ…」という葛藤・劣等感から解放されます。

仕事で知り合った他社研究員の方と名刺交換したとき、名刺に(Ph.D)と記載されていると「おお…この人ドクターか」と思うんですよね。

その心情には「自分が経験していないことを乗り越えた事実に対する称賛」と「自分も取得できたかもしれないのに…という葛藤・劣等感」が混ざっています。

 

コロぽち
コロぽち
でも修士卒で研究職を目指すと決めた時、それは覚悟していたことだろ?今さら何を言ってんだ…?
バイオさん
バイオさん
研究職じゃなくても良いと思ったから修士卒で就職したのであって、実際に研究職に就いてからは事情が違うんだなこれが…!

 

もちろんその心情は口に出さなければ他人にバレることはないので、生活上は何ら問題ありませんよ。

僕はブログでその心情を吐露してしましたが…

 

しかしその葛藤・劣等感が胸につかえていて、何かの拍子で自分の心をかき乱し、モヤモヤするのは心理的によろしい状況ではないなと感じます。

もしあなたがPh.Dに関して僕と同じような(他人に言えない)悩みを抱えているのであれば、社会人で博士進学するのはメリットが大きいと考えます。

 

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金銭的不安がない状態から取得を目指せる

博士進学向けの貯金を貯めているイメージ図

社会人になってから博士課程進学を志せば、学生にとって深刻な悩みである「お金がない」「奨学金の返済が…」という金銭的不安が(ある程度)解消されます。

何を隠そう自分も「金銭的不安」が博士進学を諦めた決定打でして、家が貧乏だったゆえ「これ以上両親に迷惑かけたくないな」と思っていました。

博士進学を諦めた理由は「自分が博士進学を諦めて就職を決意した5つの理由【当時の葛藤を暴露】」の記事に詳しくまとめております。

 

コロぽち
コロぽち
別に学振通れば金銭面で不安は無くなるのでは?
バイオさん
バイオさん
大学の場所によっては月20万円でも生活が苦しかったりするんだよね…。家賃とか家賃とか。

 

学振に通ればある程度の金銭的余裕ができることは否定しません。

が、修士卒で企業に入れば学振でもらえる金額の2倍以上を給料でもらえるケースもあります。

そうすれば奨学金返済は毎月でき、日々3~5万円の貯金をし、かつボーナスを丸々“博士課程進学用の資金”として貯めることが可能。

 

金銭面不安は「誰かからのアドバイスで解消できる問題」ではないので、不安を感じている人にとって社会人博士はおすすめです。

自分が博士進学を諦めて就職を決意した5つの理由【当時の葛藤を暴露】 当記事では上記の疑問にお答えいたします。 本記事の内容 自分が博士進学を諦めて就職を決意した...

 

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入社後の職種ミスマッチを回避してから取得できる

入社時に研究職に配属された人のキャリアイメージ

個人的に感じる「修士卒で研究職に就き、数年後に社会人博士課程に進学する最大のメリット」はこれです。

研究職(or R&D職)に配属されて「研究を仕事にできる」と確定してから博士号取得を目指せるのは大きなメリット。

 

日本って本当におかしな国だなと思うのですが、1つの研究領域を極めた貴重な博士卒人財が全く経験のない「生産職」や「技術営業職」に配属されたりするんですよね。

生産職、技術営業職がダメと言っているわけではなくマッチングがおかしいという話。

 

バイオさん
バイオさん
そのミスマッチのせいで入社後すぐ辞めてしまう人を実際に見てきました…。
コロぽち
コロぽち
せっかく研究者として専門性を磨いてきたのに、その配属はちょっと可哀想だよな。

 

もちろん博士卒でそのまま研究職に就かれる方もたくさんいます。

が、社会人で「研究を武器にして収入を得る立場」になってから取得を目指しても遅くはないと考えます。

 

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自分の卒業後の就職先を心配しなくて良い

就活に励んでいる理系院生のイメージ図

社会人から博士進学すれば「ちゃんと就職できるか不安だぞ問題」から無縁な状態で博士号取得を目指せます。

理系学生の採用サービス「LabBase」を提供している株式会社POLが実施した博士課程に在籍する学生55名を対象にしたアンケートでは、以下のような結果が出ていますね。

博士に進学する上で最も強く不安に思ったことはどんなことでしたか。

・博士号取得後の就職に関する不安:40.0%
・学費に関する不安:23.6%
・博士号取得後に大学で研究を続けることへの不安:12.7%
・卒業できるかという不安:12.7%
・人間関係に関する不安:5.5%
(以下略)

引用元:8割が博士進学に不安、最大の懸念は進学後の就職 博士学生と企業へのアンケート調査から進まぬ博士採用が浮き彫りに

 

コロぽち
コロぽち
回答数がn=55だから数は少ないが、就職に不安を抱く博士課程は多そうだな。
バイオさん
バイオさん
企業人になってから進学を志せば将来に対する不安は軽減されていると思うので、メリットは大きいと思います。

 

また平成29年度の文部科学省資料「大学院の現状を示す基本的なデータ」によると、社会人博士数は年々増えており、平成28年度の博士進学者のうち約41%は社会人博士です。

 

昔に比べると社会人博士の受け入れ制度や博士号取得の支援が拡充されてきています。

それゆえ修士から博士へストレート進学しなくとも、社会人で博士号取得できる確率が徐々に高まっているのは間違いないと思います。

 

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最悪、博士号を取得できなくてもダメージは最小限

博士課程を取得する難しさに気づいて逃げる人

これは先輩から聞いて「なるほどな」と思った話ですが、社会人の場合「博士号取得」に失敗してもダメージは最小限です。

というのも博士号の有無に関わらず会社から仕事はすでに与えられているわけで、取得できなかったといって「仕事が無くなりました」はないですよね。

もしかしたら5~10年後には博士号がないと研究職に就くのが不可能になっているかもしれませんが、それはまだ仮定の話。

 

博士号は自分のキャリアを広げるために有用ですが、それが無いと仕事が突然消えて途方に暮れるというものではありません。

一方で、修士課程から博士課程に進学した場合は、博士号が取得できるかは重要な問題ですよね。

 

バイオさん
バイオさん
オーバードクターしたり、教授と相性が悪くて途中退学してしまった知り合いが何人かいますね…。
コロぽち
コロぽち
研究職に就く云々どころか就職が決まらない、その後の行方がわからないとかリアルにあるぞ。

 

「博士課程進学で失敗した場合の保険が欲しい」

という方は社会人になってから博士課程進学を目指すのが良いと思います。

 

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社会人から博士課程進学するデメリット5選

博士課程進学を周りから非難されている修士卒の人

一方で、修士卒研究職が考える「社会人→博士進学するデメリット」は以下の通りです。

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1つずつ解説していきます。

 

仕事、家族、+α(博士課程)はやはり厳しい

時間があまりないことをイメージさせる砂時計

博士課程に進学すると当然のことながら「講義受講による単位取得」や「研究室ゼミの参加」、そして「博論執筆」などやることは多いです。

なお忙しさは大学や研究室の方針に大きく依存します。

 

業務外時間がけっこうな割合で博士号取得関連に費やされるので、仕事・家族・語学勉強など進めながらも論文書いたりするのはキツイ。(ここに副業が入ってくると崩壊する)

 

バイオさん
バイオさん
上記のように、副業の時間を削って全力で論文執筆しても、2~3か月執筆にはかかります…。
コロぽち
コロぽち
土日とか有効に使えればいいんだが、家族との時間を大切にしたいと思うものなんだよなー。

 

「なんとなく博士号あったら便利かも」みたいなフワッとした感じで社会人博士を取得しようとすると、モチベーション保つのが難しいので注意されたし。

 

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別に博士号を取得したから出世できるわけでもない

博士号取得後のイメージを思い描いている人

勘違いしている人が多いかもしれないのでお伝えしておきますと、別に博士号は「出世に絶対必要」ではありません。

また博士号を取得したからと言って出世するわけでもありません。

 

コロぽち
コロぽち
え、でも管理職候補や課長・部長候補として期待されている研究職の人が社会人博士に行くのはよくある話じゃん。
バイオさん
バイオさん
それは「こいつを出世させたい」と会社が判断したから博士号取得を進めているわけで、「博士号を持っているからこいつを出世させよう」というわけではないです。

 

「博士号は足の裏の米粒。取らないと気持ち悪いが、取っても食えない」

という言葉からも推察できる通り、やはり博士号は「取得してから何をするか?」が大事で「取ったからすごい」とか「取ったから名声を得られる」とかそういう類のものではない。

 

博士号取得を進めている間に「博士号取得に興味ない同期」はどんどん仕事に没頭し、どんどん仕事で成果を出し、どんどん出世していく可能性をお忘れなく。

出世に対する考え方は人それぞれのため、出世が遅れることの是非は本記事で言及しません。

 

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論文執筆は業務外でやることになる可能性あり

自宅で論文執筆に励んでいる社会人博士課程の人

会社の雰囲気や、研究テーマの情勢(終わったテーマか現在進行形のテーマか)にも寄りますが、論文執筆するなら「業務外」にやる覚悟はしておいた方が良い

特に終わったテーマの成果を論文化する場合は、業務中に書くのは難しいかなと。

 

バイオさん
バイオさん
「それを執筆してもしなくても“今のテーマ”の遂行には関係ないよね?」と周りは思うものです。
コロぽち
コロぽち
「あいつは仕事せずに論文執筆だけしている」と変な噂が経つとめんどくさいので、業務後に執筆した方が良いぞ。

 

修士から博士課程にストレート進学して博士号取得を目指している場合、「なんで研究室にいる間に論文書いてるんだよ」とか言う人はいないですよね笑

大学にとって学生に論文執筆させることは高度な専門性を有する人財育成のために必要なことで、ラボの運営にも関わる重要なことだからです。

 

もちろん論文を出すことが重要な研究テーマも企業にはたくさんありますので、そういうテーマを担当する場合は業務中に論文が書けます。

とはいえ必ずしもそういうわけではないので、陰でコツコツ頑張ることが要求されるのはデメリットと言えるでしょう。

 

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博士号取得について社内で揉め事になる可能性あり

博士号取得について相談しているところ

割と深刻なデメリットだなと思うのがこれでして、社会人で博士号を取得する際には非常に苦労する工程が存在します。

それは「博士号取得に使用する論文の共著者全てから同意書をもらう」という工程です。

別の誰かがその論文を活用し、博士号を別途取得するのを防ぐためです。

 

コロぽち
コロぽち
え、別にそんなのお願いして同意書もらったら良いじゃん。
バイオさん
バイオさん
自分と仲が悪い人が共著者になっていた場合…あとはわかるな?

 

たとえばあなたが大学の頃に執筆した論文を博論で一部活用するとしたら、その論文の共著に入っている指導教官全てから同意書をもらう必要があります。

 

もしあなたが研究室の指導教官と喧嘩別れしていたらどうなるでしょう?

多分、同意はもらえませんよね。

 

「なんでお前なんかのために俺がわざわざ同意しないといけないんだ」

こんな理由で論文の使用許可が下りず、博士号取得が数年延びた(=別途、新しい論文を書いてから取得した)、博士号取得を諦めたケースを実際に知っています。

 

修士から博士課程進学している場合はこんな悲劇はないと思うので、社会人で博士課程に進学する大きなデメリットとして考慮しておくべきと考えます。

 

>>「社会人から博士課程進学するデメリット一覧」にもどる

異動・海外転勤で諦めざるを得なくなる可能性あり

海外転勤のため飛行機で移動しているところ

社会人で博士課程に進学する場合、業務との両立で博士号取得に至らないケースだけでなく「異動・転勤に伴い強制的に諦めざるを得ないケース」があります。

実際に博士課程進学中であるにも関わらず、遠方や海外へ転勤となってしまい大学に通えなくなったケースも。

 

バイオさん
バイオさん
今はオンラインで受講したり、お盆休みなど長期休暇で集中的に受講することもできるようになってきていますが。
コロぽち
コロぽち
でも研究室ゼミとかを遠隔参加するのは中々厳しいよな。そういうシステムが早く各大学・研究室に普及されれば…。

 

もちろん大学にはそういった場合に備えて「休学」という選択肢も用意されています。

たとえば東京工業大の博士課程では「休学は通算3年まで可能」とあります。

しかし異動や転勤(出向含む)で3年離れていると、世の中の情勢・家庭状況・キャリア状況など目まぐるしく変わっているはず。

 

結果的に休学したものの、再び復帰する余裕がなくて自主退学する可能性がある。

それが社会人で博士課程進学するデメリットだと考えます。

 

もし社会人で博士課程を取得するなら「タイミング」は非常に重要だと思います。

たとえば会社の方針が“5か年計画”なら「5か年計画の1~2年目から博士課程進学する」などですね。

その5か年が終了するまでは研究職から異動するリスクが減らせるため。中長期計画が新しく始まる時が異動や転勤など一番多い。

 

せっかく進学するのであれば「会社の情勢に飲み込まれにくい時期はいつか?」を考えて進学するようにしましょう!

 

>>「社会人から博士課程進学するデメリット一覧」にもどる

社会人で博士号を取得するキャリアもあるので焦らずともOK

というわけで『社会人から博士課程進学するメリット・デメリット』に関して解説しました。

最後にもう一度だけ復習しましょう!

 

 

自分もそうでしたが、修士学生の段階だと「博士課程進学か?就職か?」の2択で死ぬほど悩むと思います。

ですが「就職してから博士号取得する」という選択肢も普通にあり得るということを強調したい。

 

学部4年~修士2年まで後悔が残らないほど全力で研究に没頭する

修士卒で研究職・研究開発職・R&D職として内定をもらう

配属ミスマッチがなく研究を仕事にできるようになってから博士号取得を今一度考え始める

 

この流れが僕は無難なのかなと思っています。

研究を仕事にできることが確定し、かつ「やっぱり研究って良いよね」と改めて実感できるようになってから博士号取得を志しても全く遅くない。

自分と同じように社会人で博士号取得を目指す方が増えると嬉しいですね。

 

というわけで当記事は以上です。

ではではっ

 

バイオさん
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くりぷとバイオ
くりぷとバイオ
研究を一生続けていくため、まずお金の不安を解消すべく副業を始めた20代科学者。 旧帝大を修士で卒業後、大手企業で基礎研究職に従事。 研究室時代はストレスで心身を病みながらも日夜実験に取り組み、運良く筆頭著者論文を複数投稿することに成功した苦労人&棚ぼたマン(自称)。 暗号資産の面白さ・可能性に惚れこみCoinMarketCapの銘柄を全部調べた経験あり。