<当記事でわかること>
■研究を本気でやれる環境は大学だけじゃないという事実
■3年以上経験してわかった研究職の良さ
当記事では、企業研究職のくりぷとバイオ(@cryptobiotech)が「3年以上経験してわかった研究職の良さ」を解説します。
もしあなたが上記と同じようなことを一回でも思った経験があるなら、当記事はあなたのお役に立ちます。
また、当記事は「就職か?進学か?」と悩んでいる学士・修士課程の学生が読んでも参考になります。
読み終わった後には「研究職ってこんな感じなんだ」と研究職に対する理解が深まっているでしょう。
学部卒・修士卒で研究職を目指す方は是非ともご一読ください。
目次
【前提】研究を本気でやれる環境は大学だけじゃない【やりたい研究は企業でもできる】
まず前提をお話しておくと「本気で研究がしたいならアカデミア」というのは、個人的には半分正解、半分ウソです。
確かに“研究”を生業にして生きていくという意味で言えば正解ですが、そこに企業が入っていないのがウソ。
僕は修士卒で企業研究職の道を選びましたが、現在は“研究”を生業にしてお金をもらっています。
そして“本気で”研究に取り組めている&それを実現できる環境下にあると思います。
やりたい研究もできていますし、むしろ働き方も院生時代より健全で、当時と比べるとかなりストレスフリーですね。
確かに一生研究と携わっていくならアカデミアの方がやりたい研究をずっと続けられるかもしれません。
自分の指導教官を見て「科学と共に生きる人生も楽しそう」と思うような気持ちもわかります。
でもあなたもご存知の通り、今はアカデミアも競争が激しく、成果を出せないと研究のポストが獲得できません。
ある分野でトップクラスのジャーナル誌に投稿しながら、次のポストが見当たらないと嘆いている先輩を何人も見てきました。
それを見て「アカデミアも一生研究が続けられるわけではないんだな」と学生ながらに実感したことを覚えています。
もちろん企業でも異動で職種が変わることもあるので、一生研究を続けられるかは人によります。
が、短中期的に見ればアカデミアでも企業でも「本気で研究に取り組める環境」はあります。
「企業に進むと全然研究ができないって聞くし…」というのは割とウソなのでご注意くださいね。
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研究したいなら就職して研究職をおすすめしたい理由
前項では「企業でも本気で研究ができる」という前提条件を解説しました。
本項では「研究したいなら就職して研究職に就くのをおすすめしたい理由」をお伝えしますね。
僕がそう思う理由は下記の通りです。
1つずつ説明しますね。
金銭的余裕が生まれるから(欲しいものがためらいなく買える)
研究職だと比較的「良い給料」を頂きながら研究できるのでおすすめです。
例えば以下のサイト情報によるとポスドクの年収は274万円~357万円ですが、幸運にも僕は今それ以上の年収を頂いてます。
修士の頃は人生を研究に捧げていても「給料」はもらえていなかったので、実際に初任給が出た時の感動たるや。
院生時代の頃は貧乏だったので、欲しいものがあっても泣く泣く諦めるシーンが何回もありました。
逆に欲しいものをすぐに買えてしまう人もラボ内にはいて、「お金が無いって不幸だな」とその度にモヤモヤしてましたね。
でも今では「これ欲しいな」と思ったモノを比較的すぐ買える生活に。
Amazonで欲しいものをためらいなくポチッとする自分に気づいた時は「やっとマトモな生活できるようになった」とかなり感動しました。
確かに博士課程に進学して“学振”に採用されると月20万円もらえるので生活には十分だと言えます。
でも企業に入ると初年度でその収入の2倍以上、人によっては3倍以上もらえるケースだってあるんです。
金銭的余裕を得ながら研究したいなら企業研究職はおすすめの選択肢と考えます。
最先端機器・試薬を使えるから(生産性大幅アップ)
企業だと研究に必要な最先端機器や試薬などを思う存分活用できるので、院生時代と比べて生産性が非常に高くなります。
例えば「このタンパク質を検出する抗体をつくりたいな」という時を考えてみます。
大学だとウサギやニワトリに抗原投与して自分でつくることがあるのではないでしょうか。
でも企業だと時短や生産性向上の観点から外注で抗体を作製するケースも多いです。
今なら下記のように多様な抗体作製サービスがありますね。
外注して納品を持っている間、自分は別のことに時間を使うことができます。
ただ大学でもビッグラボは研究費豊富なので、企業と同じようなことが可能と考えます。
「別にビッグラボでも同様なことができるし、そっちに行けば良いやん」と思っているあなた、それは確かに正解です。
弊ブログの以下の記事でも述べていますが、もし僕がもう一度研究室を選ぶならビッグラボを選択しているでしょう。
しかし先ほどお伝えした通り「金銭面」では企業の方が有利である可能性が高いので、個人的には企業研究職で研究に没頭するのが良いと考えます。
時間的余裕が生まれるから(研究以外のことにもトライ可能)
企業研究職だと最先端機器・試薬の活用&外注によって生産性が大きく向上しています。
それゆえ研究室時代より「時間的余裕」も発生します。
個人的な経験で恐縮ですが、院生と今を比較して日々どれくらい研究しているかを表したのが以下になります。
- 院生:朝9-10時~夜24-25時(大体15~16時間/日)土日ほぼなし
- 研究職:朝8-9時~夜18-19時(大体8-9時間/日)土日あり
もちろん研究職の今でも自宅で論文読んだりブログ書いたりしているので、作業時間は同じかもしれません。
でも“研究”に対する生産性は、8-9時間/日しか仕事していない今の方が絶対に高いです。
それは最先端機器・試薬&外注の影響も大きいですが、そもそもの作業量密度が圧倒的に違いますね。
院生時代は研究と1日中向き合い、終わったら家に帰ってすぐに寝るという生活でした。
当然、他のことをやっている暇など無し。
でも今は院生時代よりも早く成果を創出し、かつ副業といった+αにも手を出すことができています。
時間的余裕を得られるという面でも企業研究職はおすすめなので、研究+αに興味がある人はぜひとも企業へ。
人脈がものすごく広がるから(研究以外の人とも繋がれる)
企業に入ると様々なイベントを通じて人脈がものすごく広がります。
企業ー企業間の交流を深めるプライベートイベント(スポーツなど)もありますし、自ら望めば人脈はどんどん増していきます。
特に素晴らしいと思ったのは、研究以外の人とも繋がれるようになったことです。
- プライベートイベントを通じて事務系・技術系の枠を超えた知り合いが増える
- 学会を通じてアカデミアや他企業の知り合いが増える
- ビジネス系イベントを通じてベンチャー企業の社長などの知り合いが増える
という感じで、院生時代よりも劇的に知り合いが増えていっております。
実際に僕もベンチャー企業の方と知り合ったりして一緒に飲みに行ったりすることがあります。
大手企業の思考とは全く違ってかなり刺激をもらえたりするので、このケースは「知り合っただけで」価値ある体験ができていますね。
このように、企業研究職に就くと院生時代とは全く違った視点が身に付くのでおすすめですよ。
特に「ビジネス視点」は企業に入ってから劇的に磨かれるので、研究もしながらビジネスモデルも構築したい人は研究職一択。
会社を通じて多様な経験を積める(人間力を磨ける)
企業の制度を活用すると、個人では絶対にできないような経験をさせてもらうことができます。
例えば僕が企業に入って経験させていただいた例は以下の通り。
- 自分の担当領域に関する国際学会に1~2年周期で行ける
- 自分の担当領域に関する国際ビジネス展に1~2年周期で行ける
- 実際に自分の研究成果が役立つ“現場”に行かせてもらえる
- マネジメント論やリーダシップ論で著名な方が会社でセミナーしてくれる
このように企業だと「研究以外のスキル(人間力と言ってもいい)」も自分のキャリアに合わせて学ぶことができます。
余談ですが、僕はこれからの時代、1つのことを極めるよりも多様なことを“得意”にしていく方が生き残れる率が上がると考えています。
だからこそ研究に加えてブログをやっていますし、ビジネス力(≒起業力)も合わせて磨いております。
もちろんブログでの別収入源獲得や起業力は大学でも磨けますが、前項で述べたように企業は時間的余裕がある。
そう考えると企業研究職で研究力をガッツリ磨きながらも、別のことにもトライして成長していくキャリアプランはありだと強く思います。
「研究もしたいけど、それ以外のことにも積極的にトライしたい!」
という方はぜひ企業研究職の扉を叩いてみてくださいね。
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(個人的に)研究職の方が院生時代より圧倒的に楽しい
というわけで個人的主観ではありますが「研究したいなら就職して研究職に就くべし」という内容でした。
当記事で解説した5つの理由から、僕は今の方が人生を圧倒的に楽しめています。
学士卒・修士卒・博士卒のどこで研究職に挑戦するかは個々人の自由ですが、研究職は研究室時代よりも充実します。
大学にいると「研究を本気でやりたいならアカデミア一択」という思考になりがちですが、それは勘違いだとお伝えしておきます。
僕も当時は勘違いしていましたが、企業研究職でも本気で研究に没頭できますよ。
ぜひとも研究職に就いて、研究人生を謳歌してくださいね。
というわけで当記事は以上です。
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ではではっ