良い研究室を選びたいんだけど、どうやって選べばいいのかわからない。
ブラック研究室を引き当てるのは勘弁なんだけど。
失敗しない研究室の選び方があれば教えてください!
当記事では上記のご要望にお答えします。
本記事の内容
- 研究室の選び方を知る前にまず考えるべきこと
- 失敗しない研究室の選び方【もしもう一度選び直すなら】
- 良い研究室の選び方を学ぶ上で外せないブラック研究室の特徴
修士で卒業後、大手企業で研究しているくりぷとバイオ(@cryptobiotech)と申します。
研究室時代は非常に激務ではありましたが「良い研究室を選べたな」としみじみ感じています。
今回は僕が「仮にもう一度研究室を選び直すなら」という内容を記事にしますね。
「こういった研究室は良いね!」と思うポイントが多々ありますので、ぜひ参考にしてみてください。
この記事は3〜4分で読めます。
読み終わったあとには研究室の選び方で迷わなくなるでしょう。
なお、研究室配属に関する極意をまとめた記事もございます。
研究室選びで絶対に失敗したくないという方は是非ご覧ください。
関連記事 「研究室がつらい」とならないために読むべき研究室選択に関する極意
目次
研究室の選び方を知る前にまず考えるべきこと
研究室に選び方を知る前に一度「あなたは研究室で何を得たいのか?」「将来何をしたいのか?」を考えましょう。
具体的には以下のようなことを考えてみると良いです。
- 良い企業に就職したい?
- 研究者として生きていきたい?
- 仲良い友人と同じ研究室に入りたい?
- 楽な研究室生活を送りたい?
研究室は学部卒業であれば1年しかいませんが、仮に博士課程まで進学すると6年同じ環境にいることになります。
「たかが研究室選び」とノリで選んでしまう学生も多いですが、それは非常にもったいないこと!
研究室は確実に自分の今後に大きな影響を与えます。
自分のキャリアや価値観をしっかり加味して、自分が納得いく研究室を選びましょう!
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失敗しない研究室の選び方【もしもう一度選び直すなら】
僕がもう一度研究室を選び直すとしたら、以下のことをチェックします。
- 自分の興味と合致する研究分野か?
- 研究室ホームページは更新されているか?
- コアタイムは明記されているか?
- 研究費は豊富か?
- 先輩が後輩を指導する文化があるか?(博士課程以上がいるか?)
- 毎年しっかりとした研究業績があるか?
- 卒業生の就職先は研究室のテーマと一致しているか?
1つずつ説明していきますね。
自分の興味と合致する研究分野か?
「これは面白そうだな」と思えることをやっている研究室を選ぶことが大前提です。
なぜならその研究分野にのめり込める可能性がグンと上がるから。
例えるなら「ゲームなら指示されなくても何時間とやっていられるけど、宿題なら10分もやっていたくない」みたいなものですね。
研究室によっては朝から日付が変わるくらいまで拘束されることもあります。
ゲーム感覚になれる研究室を選ぶのは非常に重要。
1つ注意点としては、仲良い友達がその研究室を志望したという理由で研究室を決めないこと!
あなたの人生を大きく左右する決断になるので、他人の意見に流されて決めないようにしましょうね。
研究室ホームページは更新されているか?
研究室のホームページを見ていると、最終更新日が3年前とかになってたりしませんか?
2014年に〇〇という研究成果で論文投稿!
みたいなリリースを最後に更新が途絶えているやつですね。
更新が止まっている研究室は注意しましょう。
学生から人気がある研究室は、日々ホームページの更新をしっかり行なっています。
なぜなら学生が研究室の良し悪しを判断するための情報媒体として、研究室ホームページが最強ということを理解しているからです。
今はもう情報社会ですから、情報の重要性を理解していない指導教官の可能性もありえます。
ホームページの更新が止まっている研究室に入るのは控えた方が無難です。
コアタイムは明記されているか?
コアタイム(必ず研究室にいなければならない時間帯)はしっかり確認しておきましょう。
例えば研究室によっては「朝9時から夜9時まで」と、研究の厳しさをしっかり明記してくれているところもあります。
こういう研究室はビッグラボであることが多く、とても厳しいけれど乗り越えれば就職やアカデミアで困ることはあまりないというメリットも。
一方で、研究室ホームページにそういった情報が何も書かれていない場合は気をつけましょう。
僕の知り合いに、教授の気分でコアタイムが変動するというブラックな研究室に配属されてしまった人がいます。
例えば、学生が就活に追われて研究をしなくなってくると「研究室内での就活禁止!コアタイムは21時まで!」と急にルールを変えたりしていたそう。
とはいえ、コアタイムが設けられていない=バイトとの掛け持ちも可能なホワイト研究室かもしれませんので一概には言えませんが。
ただ、もし上記例で挙げたような研究室だった場合はかなりのストレスが溜まるのは間違いないです。
コアタイムの情報は必ず調べておきましょう。
もし情報が載っていない場合は、その研究室の先輩に話を聞くか、研究室訪問をして指導教官に質問するかしましょうね!
研究費は豊富か?
ぶっちゃけた話で恐縮ですが、配属先の研究室が研究費をどれくらい獲得しているかという情報はめちゃくちゃ大事です。
当たり前ですが研究費が豊潤であればあるほど、あなたの研究は早く結果が出る可能性があります。
最先端機器・試薬を活用できるのとできないのでは、ウサギとカメくらい研究スピードが違います。
もしあなたがやりたい研究ができるラボだとしても、研究費が全然獲得できていなさそうであれば配属先としては控えたほうが無難です。
なお「日本の研究」って何?という方は以下の記事をどうぞ。
企業研究者の僕が普段使用している情報サイトをまとめた記事です。
そのまま真似してもらえれば企業研究者と同等の情報収集力が手に入りますよ。
先輩が後輩を指導する文化があるか?(博士課程以上がいるか?)
教授に指示されなくても先輩が後輩を指導してくれる環境が整っているかは大事です。
実験器具の使い方、日々の報告書の作り方、雑誌会の資料添削、研究室で培われてきた実験技術、就活アドバイスなど。
僕が聞いた話だと、研究室に配属されたら基本的に放任主義でB4に研究をやらせるところもあるとか。
研究室に博士課程やポスドクの学生がいるかどうかも重要なポイントですね。
基本的に研究室で業績を生み出していくのは博士課程学生やポスドク。
そのレベルの人材であれば卓越した実験技術やテーマ提案力を持っていることも多いので、しっかりと技術伝承をするには彼ら/彼女らの存在は重要。
博士課程の学生が全くいない研究室はしっかりとした技術伝承がなされていない可能性もあるので、研究室選びの際の指標にしましょうね。
毎年しっかりとした研究業績があるか?
研究室である以上、論文を毎年投稿しているかどうかは必ず見ましょう。
個人的に見るべきポイントだと思っているのは以下。
- そのラボの学生が筆頭著者で出している論文があるか?
- 投稿している論文誌のレベルはそれなりにあるか?(Nature, Cell, Science姉妹誌クラスがあれば有力)
- 他研究室との共同研究でも論文を書いているか?
- 企業との共同研究で論文を書いているか?
順々に説明します。
そのラボの学生が筆頭著者で出している論文があるか?
学生が自分で論文を書いてファーストオーサーで論文投稿できるかは、自身の成長に繋がるという意味でも非常に重要です。
研究室によっては、
- ポスドク以上にならないとファーストオーサーになれない
- 博士課程以上にならないとファーストオーサーになれない
- せっかく自分がやったのにポスドクに論文取られる
みたいな文化があったりします。
ファーストオーサーで論文を書くことができれば就活でもかなり有利になります。
また自分の自信にも繋がるので、それが可能なラボ選びをするようにしましょう。
投稿している論文誌のレベルはそれなりにあるか?
投稿している論文誌のレベルで、その研究室の影響力をある程度推し量ることが可能です。
論文誌には基本的にインパクトファクター(Impact Factor:IF)という指標があります。
これが高ければ高いほどその論文誌は科学界に与える影響が大きい論文を扱っていると見てOKです。
僕はバイオ系ゆえバイオ系分野の話をしますが、IF=5を超える論文誌に毎年継続的に投稿している研究室は高レベルと考えていいです。
論文は出しているけどIFが低い論文誌ばっかり…という研究室もザラにあるので、しっかり研究室配属前に論文も評価しておきましょう!
他研究室との共同研究でも論文を書いているか?
他研究室との共著で論文を書いていることが多いのもプラス評価と考えていいです。
なぜならその研究室の技術が必要とされているから。
ただ共同研究ばっかりで、その研究室に所属する学生や指導教官のファーストオーサー論文が全然ない場合は要注意ですよ。
多くの他研究室と共同研究を実施していればいるほどその研究室の影響力も大きいということ。
そういう観点から研究室の価値を評価することも可能です。
企業との共同研究で論文を書いているか?
企業と共同研究している過去情報がたくさん記載されているなら、その研究室は企業とのつながりも多いと判断できます。
ここで「過去情報」としているのは、現在進行形で進んでいる企業との共同研究は守秘義務の関係で公開されていないことが多いからです。
そして科研費にはない研究費を獲得している可能性も高いですね。
こういったつながりをもっている研究室は就活でも「教授推薦」という必殺カードを持っていることもあり。
修士卒で推薦取って企業に入りたい!と考えている学生はおすすめです。
卒業生の就職先は研究室のテーマと一致しているか?
研究室のOB/OGがその研究室の専門分野と近い分野の企業に進学しているかは非常に重要です。
研究室によっては全然関係のない企業にばかり就職していたりすることがあるので、その場合は要注意。
あなたもどうせ研究をやるのなら、本気でアカデミアの研究者を目指したり企業研究者になってみたいという気持ちがあるはず。
明らかに研究とは無縁の就職先ばかりだと、その願いは叶わない可能性が高くなります。
就職先の情報は研究室ホームページに書いてあることもありますが、まったく情報を開示していない研究室も…。
研究室を選ぶ際には、自分の期待に沿う企業に行った先輩がいるか意識しておくべし!
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良い研究室の選び方を学ぶ上で外せないブラック研究室の特徴
というわけで「もう一度研究室を選び直すなら」という内容でした。
なお良い研究室を選ぶためには、当然その逆である「悪い研究室=ブラック研究室」の情報も知っておくべきです。
個人的な感覚ですが、ブラック研究室の特徴は前述したことを軒並み満たしていないところかなと。
具体的には以下のような感じです。
- あなたにとってのやりがいがない
- 研究室ホームページが長らく更新停止
- コアタイムが明記されていない
- 理不尽なコアタイム設定
- 研究費が非常に少ない
- 完全放任主義
- 研究実績も大したものがない
- OB/OGの就職先が悲惨
これくらいの情報を事前に調査することができれば、明らかに地雷のブラック研究室を引き当てることもないでしょう。
研究室選びは今後の人生に大きく影響を与えるイベントですので、妥協せずに自分のこだわりや価値観を貫くようにしましょうね!
というわけで今回の記事は以上になります。
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ではではっ
数は少ないですが、「これは良いな」と感じた書籍を3冊を紹介しますね。
研究室選びや、研究生活に悩んでいる人はぜひ読んでみてください。
ボスの選び方、研究テーマの決め方から、論文、学会発表、留学の仕方まで解説してくれている良著です。
研究者としての人生を歩み始める人が読むと、やる気が出てくる本です。
先輩や教授といった他人とうまく付き合い、研究室という組織の力をどう活かすかを詳しく解説してくれた書籍。
研究室の中でうまく過ごしていきたいというあなたには必読の一冊です。
累計100万部売れた「理系の作文技術」を漫画化した書籍です。
研究室配属された人全員におすすめできる本だと確信しています。
文章書くの苦手なんだよな…という人は必見ですね。