将来研究者として生きていきたいけど、どんなラボに行けばいいの?
どうせなら世界で戦える研究者になりたい。
当記事では上記の疑問にお答えいたします。
本記事の内容
- そもそもビッグラボとは?(個人的主観を踏まえて語る)
- 海外で戦える研究者になるためにはビッグラボで時間を投資するのが良いと思う理由
- 海外で戦える研究者になるなら早めに世界を知った方が良い
修士で大学を卒業後、大手企業で研究をしているくりぷとバイオ(@cryptobiotech)と申します。
学士~修士までの3年間で運良く筆頭著者論文を複数投稿することに成功しております。
将来研究に携わりたいという学生さんにおすすめしたいのは「ビッグラボに行って成果を出すこと」ですね。高偏差値の大学に行くこと自体はもう正解ではない。
学歴よりも「実績」と「人脈」が今後かなり重視されるのは間違いないので、激務だけどビッグラボで経験積めば超強力な武器が手に入ります。
— くりぷとバイオ@研究職 (@cryptobiotech) April 30, 2019
将来研究に携わりたいという学生さんにおすすめしたいのは「ビッグラボに行って成果を出すこと」ですね。高偏差値の大学に行くこと自体はもう正解ではない。
学歴よりも「実績」と「人脈」が今後かなり重視されるのは間違いないので、激務だけどビッグラボで経験積めば超強力な武器が手に入ります。
当記事では上記のツイートを掘り下げてみようと思います。
タイトルで結論を言っていますが、「世界で通用する研究者になりたい」なら研究室はビッグラボにするべきです。
僕がビッグラボ出身者ではないので説得力に欠けるかもしれませんが、ビッグラボに行った友人の「伸び」を見てそう思わざるを得なかった。
あと上記ツイートに反応してくださった方々から「そもそもお前が思うビッグラボって何やねん!」というご意見をいただきました。
「個人的に考えるビッグラボの定義」を語った後、なぜビッグラボが良いのか?という理由を5つほど述べてみますね。
これから研究室をどう選ぼうか悩んでいる方、院転するか悩んでいる方に役立つ内容のはずなので、是非ともご一読ください!
なお、研究室配属に関する極意をまとめた記事もございます。
研究室選びで絶対に失敗したくないという方は是非ご覧ください。
関連記事 「研究室がつらい」とならないために読むべき研究室選択に関する極意
目次
世界で活躍する研究者になれるビッグラボの特徴(個人的主観)
僕が考える、世界で活躍する研究者になれるビッグラボの特徴は以下の通りです。
人によって定義が異なるのは重々承知しておりますが、下記条件を満たすことが必要と考えます。
- 継続的にhigh-impactジャーナルに論文を出せる(実力面)
- 外部から優秀な人材が集まってくる(名声面)
- 優秀なポスドク・博士課程学生が下を育てる文化がある(教育面)
ビッグラボと聞くと「学生の数が異常に多い」とか「研究開発費が非常に豊富」ということをイメージしがちです。
こういったラボは確かに世間的には「ビッグラボ」と称されてしかるべきですが、「理想的なビッグラボ」と言っていいかは疑問が残ります。
なぜなら人や資金が多くても教育体制がまったく整っておらず、配属された学生さんがどんどんいなくなってしまう場合もあるからです。
これは2010年に投稿されたニュース「Study says middle sized labs do best (Nature誌)」でも示唆されている通りです。
アカデミアで大事なのは「継続的に論文を出せること」「優秀な人材が勝手に集まってくること」「教育体制が整っていること」です。
研究は実力社会ですので、論文が出せなければ当然どんどん研究費は削られていきます。
論文が出せなければ優秀な人材も集まりません。
優秀な人材がいなければ配属された学生に質の高い研究教育も施せません。
実力と名声が揃っていれば良いような気もしますが、大学(アカデミア)は教育機関なので教育は義務です。
それゆえ「ビッグラボ」とは実力面・名声面・教育面の3拍子が揃っているラボと定義します。
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海外で戦える研究者になるためにはビッグラボで時間を投資するのが良いと思う理由
海外で戦える研究者になるためには、ビッグラボで時間を投資するのが良いと思う理由は以下の通りです。
5つあります。
- 化け物じみた先輩達の研究スキルや価値観まで全て学べる
- 世界のトップサイエンティストがラボに講演に来てくれる
- 世界トップクラスのラボに留学させてもらいやすい
- 世界で戦う厳しさが理解できる(当然やめる人も出てくる)
- ビッグラボで生き抜くとえげつないほどレベルアップする
順々に説明していきますね。
化け物じみた先輩達の研究スキルや価値観まで全て学べる
ビッグラボに入るべき最大の理由は、化け物じみた先輩達から研究スキルや価値観を直接教えてもらえるからです。
僕の知り合いが配属されたビッグラボでは、「論文を出しまくっている人」とか「学会に行く度に賞を獲って帰ってくる人」が普通にいました。
さすがにそのレベルは博士課程の人ばかりでしたが、皆「化け物」と称するにふさわしかった。
僕の知り合いは研究室に配属されて早々そういった化け物の下で研究ができたんですよね…。
正直羨ましかったです。
こういったビッグラボの凄いのは「上が下を教育する制度が自然とできていること」です。
なぜならいま化け物と称されている人々も、B4の頃にしっかり教育を受けてきているから。
「上は下を育てるべし」という思考がラボに染みついているんですよね。
全力でぶつかっても受け止めてくれる先輩がいるのは本当に幸せなこと。
それゆえビッグラボはおすすめの環境といえます。
世界のトップサイエンティストがラボに講演に来てくれる
ビッグラボだと世界のトップサイエンティストが普通に研究室ゼミに参戦したりします。
例えば化学分野だとNature Chemistry, JACS, Angewandte Chemieにバンバン論文出すようなラボの大御所ボスが来たりなどですね。
仮にテニスで例えるなら、フェデラー選手とかナダル選手が自分のテニススクールに来てレクチャーしてくれるみたいなもの。
要するに、めちゃくちゃ興奮できるわけです。
友人曰く「日本国内でそれなりの有名学会があるたびに著名人がウチに来る」と言っていました。
そんな著名人のバーゲンセールみたいな言い方やめてくれって思いますよね(嫉妬)
というわけで世界のトップサイエンティストと普通に会えるという意味でもビッグラボはおすすめです。
世界トップクラスのラボに留学させてもらいやすい
ビッグラボだと海外トップレベルのビッグラボに留学しやすくなります。
なぜなら前項で述べたように「トップサイエンティストとコネがあるから」です。
ボスが「ノーベル賞受賞者」と知り合いで、そこのラボに留学させてくれるケースもあると聞いたこともあります。
研究者であれば一度は海外留学して研鑚を積みたいと思うものですよね。
ボスのコネクションで世界トップラボに挑戦する機会をもらえるのは、かなり羨ましいと当時は思っていました。(正直、今でも…)
それゆえ研究者として良い経験を積みたいと思うならビッグラボに行って損はないかと。
世界で戦う厳しさが理解できる(当然やめる人も出てくる)
ビッグラボに行くと「世界の厳しさ」を早い段階で知ることができます。
僕の認識で恐縮ですが、世界トップクラスのジャーナル誌に継続して論文出せるラボは例外なく「激務」です。
もちろんこの環境で全員が耐えられるかといったら答えは「NO」です。
いなくなっていく学生も当然います。
たとえどれだけ先輩が親身になって教育してくれてもです。
ただ、人がいなくなっていくのは「競争社会」において不可避の法則です。
これは研究・スポーツ・芸術など、どんな分野にも当てはまる不変の法則。
それゆえ「自分は研究には向いてなかった」と早い段階で諦められるという意味でもビッグラボはおすすめと言えます。
人生は「研究」だけではないので、ダメでも落ち込む必要はないです。
切り替えて別のことに挑戦できるなら早いに越したことはない。
研究ではダメだったけど、他の分野で花が開いたなんて珍しくもなんともない話です。
ビッグラボで生き抜くとえげつないほどレベルアップする
前項と関連しますが、ビッグラボで生き残った学生は例外なく尋常でないほどレベルアップします。
仮にあまり満足いく業績に結びつかなったとしてもです。
これはスポーツで例えるとわかりやすいですね。
強いチームではレギュラーとして試合に出れないけど、別のチームに移籍すると余裕でレギュラーとして出れてしまうみたいな感じ。
とても悔しいことに、僕はこの実力差を味わされたことがあります。
僕はビッグラボ出身ではないですが、かなり研究に人生捧げて筆頭著者論文を複数投稿することに成功しています。
一方、ビッグラボにいた友人は「博士課程に行かないと論文が書けない」という制約だったので業績としては筆頭著者論文なし。
パッと見て「書類評価」なら僕が有利かもしれませんが、直接話すと嫌でもわかるんですよね。
そのビッグラボにいた友人との実力差に。
情報収集力・仮説検証力・プレゼン力・論理的思考力など、どれ一つとっても勝てないと思ってしまうほど差が開いていた。
僕が所属していたラボも国内ではかなり有力ラボだったので、環境が悪いと思ったことは一度もなかった。
でもいつの間にか大きな実力差がついてしまっていたんですよね…。
あれはすごく悔しかったな。
こういった経験もあり、僕はビッグラボにいくことを勧めています。
「激務に身を投じる覚悟」があるなら、「世界の競合と戦う意志」があるなら、ビッグラボに行かない理由はないです。
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海外で戦える研究者になるなら早めに世界を知った方が良い
というわけで当記事は以上です。
ビッグラボに行くにはかなりの覚悟を要求されますが、それを踏まえても挑戦する価値があると考えます。
周りが優秀な人だらけだと嫌でもレベルアップしますし、人間は追い込まれると強烈に進化するので。
何事も経験できるなら早いに越したことはないですので、世界のレベルの高さは早めに知っておきましょう。
ちなみに、これから就活も「学歴主義」から「実力主義」になっていくのは間違いないです。
通年採用化ということは、新卒も転職者とのガチンコバトルになるわけですので。
だからこそ理系学生の強みになる「研究」という武器は、若いうちにとことん磨いておいてくださいね!
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ではではっ