<当記事でわかること>
■SDGs (Sustainable Development Goals)とは
■SDGsが研究テーマの考案・提案時に役立つ理由
当記事では「世界が意識しているトレンドを踏まえて研究を進める方法」を解説します。
SDGsは企業研究者である僕(@cryptobiotech)も常に意識しているもので、学生の頃から知っておくと便利です。
あなたがもし「自分の研究って何の役に立つのかな?」と悩んでいるのであれば、当記事の情報はあなたのお役に立ちます。
このSDGsは「研究費を分配する権力を有する機関(政府など)」が重要視しているものですので、知っておくに越したことはありません。
当記事は数分で読めますし、読み終わった後には「自らの研究のゴールをどこに置くか?」を描けるようになるでしょう。
「なぜSDGsが研究に役立つのか?」という当記事独自の情報もありますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
SDGs(Sustainable Development Goals)とは?【研究テーマのお供に】
SDGsは「先進国・発展途上国問わず、2016年から2030年まで取り組むと定められた国際目標」です。
具体的には以下の17目標があります。
- 貧困をなくそう
- 飢餓をゼロに
- すべての人に健康と福祉を
- 質の高い教育をみんなに
- ジェンダー平等を実現しよう
- 安全な水とトイレを世界中に
- エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
- 働きがいも経済成長も
- 産業と技術革新の基盤をつくろう
- 人や国の不平等をなくそう
- 住み続けられるまちづくりを
- つくる責任 つかう責任
- 気候変動に具体的な対策を
- 海の豊かさを守ろう
- 陸の豊かさを守ろう
- 平和と公正をすべての人に
- パートナーシップで目標を達成しよう
目標なので達成できなくても罰則はないですが、世界各国がこのSDGsを達成するための政策を実施してます。
さて、あなたの研究テーマは上記のどれに該当するでしょうか?
もちろん1つに絞る必要はなくて、複数該当することも当然あり得ます。
「こういった分野に使えると思う」と“自分なりに”考えるだけでなく、世界課題と照合できている学生は意外に少ないと考えます。
これらは2030年までに達成したい目標ですが、上記17目標を達成するために我々研究者ができること/やるべきことは非常に多い。
例えばですが、これら目標を把握しているのとしていないのでは、科研費など申請する際に大きな差が生まれると思います。
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日本が考える8つの優先課題
なおこのSDGsを加味して、特に日本が「優先課題と具体的施策」と掲げていることは以下の通り。
- あらゆる人々の活躍の推進
- 健康・長寿の達成
- 成長市場の創出、地域活性化、科学技術イノベーション
- 持続可能で強靭な国土と質の高いインフラの整備
- 省・再生可能エネルギー、気候変動対策、循環型社会
- 生物多様性、森林、海洋等の環境の保全
- 平和と安全・安心社会の実現
- SDGs実施推進の体制と手段
なお上記は以下の記事を引用したものでして、より詳しく見てみたい方は以下からどうぞ。
上記はSDGsを日本向けに特化させたものですので、国内研究者はこれらを特に意識するのが良いのかなと。
もちろん国が推進する研究ばかりに力を入れるのは科学の進歩としては考えモノですが、知っておいて損はないですよね。
「その研究が将来何に役立つの?」
「それってやる意味あるの?」
と質問された時、有効な回答例をつくることができると考えます。
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SDGsが研究テーマの考案・提案時に役立つ理由3選
ここまでSDGsの紹介をしてきましたが、実際にこれらを知っておくと研究にどう役立つのでしょうか?
個人的にSDGsが研究テーマの考案・提案に役立つと思う理由は以下の通りです。
- 誰にでも研究の重要性を伝えやすくなるから
- 時代に沿ったテーマかどうか客観的視野が持てるから
- 重要なキーワードなのにまだ知らない人が意外に多いから
1つずつ解説していきますね。
誰にでも研究の重要性を伝えやすくなる
SDGsを意識的に活用すると、あなたの研究の重要性を理解してくれる人の割合が増えます。
なぜならSDGsは研究の重要性を理解してもらうための客観的根拠として使えるから。
研究の重要性を示すにはあなたの主観も重要ですが、「本当にそれは重要なの?なぜそう言えるの?」という疑問に答える客観的な情報が必要です。
客観的な情報を求められているにもかかわらず、
「いや、私がこう思うから重要なんです!」
と主張しても「いや、その根拠を教えてほしいんだけど…」と思われてしまうでしょう。
しかしこのSDGsを知っていると、
- この研究は世界が掲げている目標のうち、○○に対応しているテーマです。
- このテーマが成功すれば、○○の分野が抱える▲▲の課題を解決できます。
- ▲▲の課題が解決できればこんなサービス・商品にも繋がります。
といった感じで、説明しやすくなるんですよね。
「国際目標をターゲットにしています」といえば相手も納得するしかないので、テーマ提案の第一段階を突破できる可能性が上がります。
時代に沿ったテーマかどうか客観的に評価できるから
SDGsを理解していると「本当に自分のテーマが今の時代に合っているのかな?」という不安をある程度解消できます。
仮にあなたが自分のテーマに自信が持てていなかったとすると、研究に対するモチベーションも下がってしまうリスクあり。
また、研究に対するゴールを明確に意識できていないと、
「もっとこうした方が良いんじゃない?」とか、
「そんなんじゃだめだよ。こうすべきだ」とか、
みたいな外部意見に振り回されてしまう危険性があります。
重要なキーワードなのにまだ知らない人が意外に多いから
2018年に電通が全国の10~70代の男女計1,400名を対象に実施した意識調査によると、SDGsの国民認知度は14.8%とのこと。
1.SDGsの認知度は14.8%。認知度自体はまだ低いものの、SDGs の17の目標テーマを提示した上での共感度の平均は73.1%と高く、理解が進めば今後のアクションにつながっていく可能性がある。
2.SDGsの17の目標テーマの中で、共感を呼ぶテーマ、企業に期待するテーマ、個人的に取り組みたいテーマは異なる。
①「水」「海」のテーマ ⇒ 共感を呼ぶ傾向
②「水」「エネルギー」「海」のテーマ ⇒ 企業に期待する傾向
③「健康」「つくる責任、つかう責任」「水」のテーマ ⇒ 個人的に取り組みたい傾向3.SDGsの認知者は情報感度・年収とも高く、新しい製品などを積極的に生活に取り入れている。
SDGsは非常に重要なキーワードでありながらもまだまだ認知率は低いです。
仮に研究者でもSDGsを知っている割合がこれくらいだと仮定すると、この情報を知っている方が有利かなと。
これを意図的に活用する研究者とそうでない研究者では「研究のゴール設定の妥当性」に違いが出てくると思います。
もしあなたが当記事で「SDGsという言葉を初めて聞いた」のであれば、他の研究者が持っていない&重要な情報を手にしたはずです。
これからの研究は「ゴール」を明確にすることが必要
というわけで本記事は以上となります。
SDGsを意識できれば、以下のような「社会課題に即したテーマ」を提案しやすくなります。
- とてもじゃないが飲めない水を、科学の力で飲めるようにする
- 病気で食事できない人を、科学の力で食べられるようにする
- 今の技術では救えない命を、科学の力で助ける
- 「遠くに行ってしまった孫に会いたい…」と思う人たちを、科学の力でコミュニケーションできるようにする
「いまできないことをできるようにする。では、今できないことって何?」
これを普段から考えていれば、自分の研究が行き着くゴールもきっと見えてきます。
どんなに実現からほど遠い基礎研究をしていたとしても、ゴールを思い描くのはとても重要。
自分の研究で変えられる世界を明確にイメージできていると、研究のモチベーションも上がります!
ぜひSDGsを活用して、普段から研究の「ゴール」を意識してみてくださいね。
なお「未来予測」に関して興味がある人は以下の書籍を一読にするのもおすすめ。
SDGsはどちらかと言えば「ポジティブ面」の未来予測情報ですが、上記は「ネガティブ面」の未来予測。
双方の視点から未来を視ると、より社会課題に精通できるので研究にも活かせますよ。
それでは、当記事は以上です。
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