<当記事でわかること>
■やりたい研究が決まってなくても大手企業の研究職に就けるワケ
■”良い意味“での「やりたい研究がわからない」状態とは
当記事では「やりたい研究がわからなくても研究職に内定が取れる理由」を解説します。
執筆者のくりぷとバイオ(@cryptobiotech)は現在、大手企業で基礎研究に従事しております。
先日、以下のような質問をPeingで頂きました。
やりたい研究はわからないけど、やりたいこと(将来の夢)が自分の中で明確だったからだと思います。非常に本質的で興味深い質問ありがとうございます!ブログの方でこの質問に対する回答を詳細に記事にさせていただきますので、後ほどご覧ください! #peing #質問箱 https://t.co/ecJHsAEBrp pic.twitter.com/g3X7zr96hw
— くりぷとバイオ@研究職 (@cryptobiotech) March 28, 2018
やりたい研究がわからないのにどうして企業で研究職に就けた(就ける)のですか?
先に結論から述べてしまうと「やりたいこと(将来の目標)が明確であればやりたい研究なんて決まってなくてもいい」です。
それが明確であれば内定を獲るのはそこまで大変ではないと考えます。
当記事では上記の内容をもう少し詳しく説明しますね。
数分で読めますし、当記事には研究職志望のあなたにとって有用な情報が含まれています。
ぜひ最後までご覧ください。
目次
やりたい研究が決まってなくても大手企業の研究職に就けるワケ
僕が大手企業の研究職に就く上で「やりたい研究」が決まっていなくても問題ないと思う理由は以下の通りです。
1つずつ解説していきますね。
将来の目標(=自分の軸)さえブレなければどんな研究でも取り組めるから
大手企業の研究職に就くために「やりたい研究」を決めて主張するのは確かに重要。
しかしそれ以上に大事なことは「“研究”を通してあなたが将来達成したいこと」を定義することです。
例えばあなたが研究室で「再生医療研究」に取り組んでいたとして、将来もそれを取り組みたいと強く心に決めたとします。
そして再生医療研究ができそうな企業を徹底的に探し、該当する企業で良さげな所にエントリーするとします。
この時、ほとんどの就活生は「自分のやりたい研究とマッチしているからアピールできるだろう」と思っているでしょう。
あなたが再生医療研究をやりたい理由は多分「今の技術では救えない人を助ける」みたいなものになっているはず。
それも非常に大事なのですが「今の技術では救えない人を助ける手段」は再生医療だけではないです。
それがわかっていないと「なぜ再生医療研究が一番だと思っているの?」と聞かれて面接で詰みます。
「なぜ再生医療研究が一番だと思うの?」と聞かれて「自分の専門領域だから」と答えるのは“最悪”ですね。
全然顧客のことを考えられていないので、どんなに熱意持って話しても(少なくとも)企業人には全く響きません。
今の技術では救えない人を助ける手段は早期発見でも良いし、遺伝子治療でも良いですよね。
「やりたい研究」よりも「やりたいこと」を決めておく方がよっぽど大事。
一方で、将来やりたいこと(≒目標や軸)が決まっている人は非常に柔軟性が高い。
例えば「今の技術では救えない人を助ける手段を創る」を目標とする人は、そもそも研究領域に縛られないです。
再生医療でも、遺伝子編集でも、核酸合成でも、DDS(Drug Delivery System)でも、何でも貪欲に取り組みます。
さらに言えば、研究職にすら縛られないことが多いですね。
それゆえ「やりたいこと」が決まっていればやりたい研究など後付けでどうとでもなると考えます。
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企業でやる研究は大学時代の研究と異なる可能性が高いから
「やりたい研究」を決めていたとしても、企業でやる研究は研究室時代とは全く異なるものになる可能性があります。
それゆえ研究室時代の経験だけで「やりたい研究」を決めることにあまり意味はないです。
たとえば僕の知り合いの話で恐縮ですが、大学で全合成をやっていたけど企業で細胞生物学を主業務とする部署に配属されることも。
その人々は当然「合成研究をやりたい」と思っていたわけですが、想像の範疇を超えた部署に配属されたわけです。
それは「将来やりたいことを達成するためにこの分野の経験を積ませた方が良いだろう」と人事が判断しているからです。
少なくとも僕は入社後、採用担当の方と飲んだ時にそう言われました。
たとえば僕は面接で「病で苦しむ人を救う技術を創りたい」という内容を伝えたのですが、それを達成するための方法は多々あります。
医薬品でも、病の早期検出でも、発症メカニズム解明でも、どれをやることになってもその最終目標には近づけるわけです。
加えて、サプリメントや病院食などの開発も選択肢としてあり得ますよね。
もっと言えば病院で家族と離れて1人寂しく過ごす患者に対して「遠隔コミュニケーションツール」を開発するという考え方もありです。
だからこそ企業は「大学時代でやっていた分野とは別のことを経験させて視野を広げようとした」のだと、入社してしばらく経ってから悟りました。
当時はそれを悟った瞬間、
ああ、人事はこれが目的で僕をこの部署に配属させたのか。
遠回りのように見えて最短距離を走らせてもらっていたんだ…。
と胸がジーンとしたのを今でも覚えています。
という上記の例を踏まえて再度同じことを強調しますが、大学時代に思い描く「やりたい研究」は企業でそこまで意味を為しません。
大事なのは「あなたが将来やりたいこと」であり、「なぜあなたはそれが将来やりたいと思うのか?」を“自分の言葉で”語れること。
間違いなくこれに尽きます。
やりたいことさえ明確ならば、それを達成するためにやりたい研究を1つに絞り込む必要なんてないです。
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良い意味での「やりたい研究がわからない」とは?
ちなみに補足ですが僕がお伝えしたい「やりたい研究がわからない」とは、
「自分がやりたい研究って何かわからない。というか自分って研究向いてるの?」
「自分がやりたい研究ってどうやって見つけるの?誰か教えて。」
みたいな「そもそも自己分析が全くできていない状態」ではありません。
これが僕が定義する「やりたい研究がわからない」状態です。
自分に自信がないとか、研究の方向性に不安を感じているとかではなくむしろ正反対で、
それがうまくいくかどうかわからないし、周りからは馬鹿にされるかもしれない。
それでも自分がやりたいと思っていることを信じて愚直に突き進んでやる!
と就活の頃に強く思っていました。
個人的価値観ですが、研究というのはそれくらいの“負けん気”がないとうまくいかないと思います。
「研究したいことがない」ことを“可”とするわけではないので注意
「やりたい研究」がわからなくても大手企業の研究職にだって就けるという話をしました。
ただ当記事は「研究したいことがない」ことを“可”とするわけではないのでご注意くださいね。
研究はあくまで目的達成の“手段(≒ツール)”です。
研究すること自体が目的になってしまうと、企業では大きく柔軟性を失うのでご注意くださいね。
人生で達成したいことをしっかり定義して、企業に良いアピールをできるようにしてくださいね!
というわけで当記事は以上です。
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