○研究室は週1来るだけでOKなホワイトなところを選ぶべきでは?
○コアタイムが設定されている研究室はブラックだよね?
○研究室で寝泊まりするとかあり得ない、そんなことして人生楽しい?
当記事では上記のご質問に異論を唱えます。
本記事の内容
- 世間の理系学生が考えるホワイト研究室の特徴とは?
- 楽なホワイト研究室に配属される懸念事項
- 自分を成長させてくれる研究室こそがホワイト研究室
修士で卒業後、企業で研究をしているくりぷとバイオ(@cryptobiotech)と申します。
研究室時代はかなり激務で、何度逃げだそうとしたかわからない凡人科学者です。
当記事では「楽なホワイト研究室はリスクがあるよ」ということを解説します。
先に結論から言うと「楽な道ばかり選択する人間は、ある時点で突然価値を失って二度とはい上がれなくなる」ので注意。
これから厳しさを増す日本社会で自分は生き抜いてやる!と考える理系学生はぜひご一読ください。
2~3分で読めるので、実験中の待ち時間などにご覧いただけると嬉しいです。
なお、研究室配属に関する極意をまとめた記事もございます。
研究室選びで絶対に失敗したくないという方は是非ご覧ください。
関連記事 「研究室がつらい」とならないために読むべき研究室選択に関する極意
目次
世間の理系学生が考えるホワイト研究室の特徴とは?
♩いいな いいな ホワイト研っていいな
優しい教授にキレイな設備
週一登校卒業できる
ぼくもしたい 卒業したい
ふらふら フラスコ握って また実験♩— 研究室にいるだけで褒めてくれるbot (@Labo_hmr) December 26, 2018
Twitterなどの情報から判断すると、理系学生が思い描いているホワイト研究室は以下のような特徴を持っていると考えます。
- 何しても怒らない優しい教授
- 研究しなくても何も言われない
- コアタイムがない
- 夏休みと年末年始休みは当たり前
- アルバイトはがっつりできる
- 週に1回くらい行けば卒業できる
要するに、
自分がやりたいこと(娯楽、アルバイトなど)だけをやって、休みたい時はしっかり休んで、やるべきタスクは最小限、でも卒業は絶対にできる!
という研究室が、世間一般の理系学生が思い描く「ホワイト研究室」ではないでしょうか。
確かに僕も院生の頃は、こういった研究室に配属されている同期が本当に羨ましく感じていました。
僕が朝から日付が変わるまで研究している中、その同期は研究室でモンハンとかスマブラとかやっている現実…。
しかしサラリーマンという立場になってみて改めて思うのは、世間一般が考えるホワイト研究室に進まなくて本当に良かったということ。
ただの負け惜しみでは?w
大学生活を堪能しておいた方が後々の人生で活きるに決まってるだろ!w
という意見があるのもわかります。
しかし次項を読んでいただければ「確かにそういった考え方もあるかも…」と思って頂けるかと。
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楽なホワイト研究室に配属される懸念事項

楽なホワイト研究室に配属される懸念事項は以下の通りです。
- ぬるま湯生活に慣れてしまう
- 実力がある同期との繋がりを失う
- 「研究」という理系学生独特の強みが消失する
順々に説明していきます。
ぬるま湯生活に慣れてしまう

前述のようなホワイト研究室は、ぶっちゃけぬるま湯生活です。
むしろこれでぬるま湯ではないと文句言っちゃう人は相当なナマケモノ。
サラリーマン1,000人に聞いたら100,000人くらいから「ぬるま湯生活」と言われます。
こういった環境に慣れてしまうと、いざその環境から抜け出すときのストレスがヤバいです。
世間一般が考えるホワイト企業でも「ブラック企業だ!働かせすぎだ!」と感じてしまうかもしれません。
理系の院で褒美もないのに終電や始発まで研究室こもって激務に慣れた人がホワイト企業就職したら金入るし院みたいに夜遅くならんし文系卒より楽に感じそうだ
— しょうP (@55mnsio) April 15, 2017
化学メーカーホワイト論、化学系の研究室出身(とりわけ無機化学系)の院生が研究室時代の生活に比べて緩やかになり、更に給料まで貰えるようになったというギャップ差によるものであるにも関わらず、ぬるま湯のような学生生活を過ごしてきた文系がホワイトという淡い期待を抱くパターンが多すぎるんや。
— ちょめちょめ (@tapt_) December 2, 2018
上記のように「こんな素晴らしい環境で働けて、お金までもらえるなんて最高!」と思えるのは、それ以上に厳しい環境で頑張っていた人だけです。
週1でOKという環境で3年間過ごしてきた人間が、もし「週5勤務で朝8時~午後17時勤務」という環境に飛び込んだら…。
楽なホワイト研究室に配属されるのは楽園のように思えますが、気づいた時にはぬるま湯から抜け出せないリスクもあります。
実力がある同期との繋がりを失う

僕がそれなりに激務な研究室に配属されて良かったと思うのは、同じジャンルの職に就く同期との繋がりが残ったことです。
僕は研究職に従事しておりますが、他社に就職した優秀な同期と今でも定期的に集まって研究の話をします。
この「同じ仕事の内容で話ができる」というのが重要でして、自分が今の仕事に悩んでいる時に的確なアドバイスをくれたりします。
一方で、楽な研究室に配属された場合は、全然関係ないバラバラの業種に就職していくことが多いのではないでしょうか。
実際に僕が知っている楽なホワイト研究室では「銀行、公務員、フリーランス、博士進学」と、各々が全く関わりない仕事に就いていきました。
しかも悲しいことに、この研究室では同期で集まって語り合ったりする機会は無いそうです。
せっかく3年間ともに過ごした同期と希薄な関係になってしまうのは寂しいですよね。
このように、楽なホワイト研究室では人間関係が希薄になって交友が途絶える可能性もあります。

「研究」という理系学生独特の強みが消失する

最も重要な懸念事項は「理系としての武器を失ってしまうこと」です。
理系として社会で活用できる強力な武器が「研究力」であることは言うまでもなく、これは文系学生では磨けない強み。
と1ミリでも思っている方は、本気で考え方を改めましょう。
そもそも研究でも、スポーツでも、芸術でも、youtuberでも、週1だけやってプロになれるジャンルは存在しません。
例えば僕が好きなプロサッカー選手でクリスティアーノ・ロナウドという選手がいますが、彼には以下のような逸話があります。
クリスティアーノ・ロナウドの練習の鬼っぷりは結構有名です。筋トレをし過ぎてコーチに止められても、ジムに潜入してまで筋トレしていたとか。
あれだけのトッププレイヤーですら鬼のように練習しています。
我々のような凡人が、週1程度の作業量で周りよりも秀でるなんて無理です。
少なくとも「研究力を活かしてホワイト企業で研究開発職に就く!」という理系あるあるな目標は、かなり実現困難であると言わざるを得ません。
僕の体験談で恐縮ですが、楽なホワイト研究室に進んだ同期は、研究と全く関係ない分野(例:銀行)に進む率が異常に高かった。
研究開発職への就職を最初から考えていないなら何も問題ないのですが、そういった学生に限ってなぜか大手の研究開発職を強く志望していたり…。
残念ながら、週5~7で研究に励む学生が存在している以上、その職を得るのは厳しいでしょう。
楽なホワイト研究室に配属されるなら、研究開発職への就職は考えない方が無難です。(特に大手)
理系の強みが無くてもあなたを評価してくれる会社を探しましょう。
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自分を成長させてくれる研究室こそがホワイト研究室

というわけで当記事は以上になります。
ホワイト研究室の定義は個々人で異なりますが、少なくとも「指導教官が学生を成長させてくれる研究室」が真のホワイト研究室なのでは。
その研究室で成長している実感があまりない場合、それは将来の自分に悪影響を与えるブラック研究室かもしれませんよ。
これから研究室配属を控える学生さんは、目先の利益(楽かどうか)だけでなく、自分の将来のためになるか?という視点で研究室を選びましょう!
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ではではっ