研究職に興味があるんだけど、研究職に向いている人の特徴って何?
研究職が合わなくて後悔したくないから事前に知っておきたいです。
当記事では上記の疑問・ご要望にお応えします。
本記事の内容
- 研究職に向いていると思う人の特徴7つ
- 研究職に向いている=研究業績がたくさんある、ではない
大学を修士課程で卒業後、企業で日々研究に取り組んでいるくりぷとバイオ(@cryptobiotech)と申します。
先日、以下の質問をPeingにていただきましたので、当記事では「企業研究職に向いている人の特徴」について記事にします。
博士課程進学ではなく、企業の研究職に向いていると思う人の特徴はありますか?
「当てはまる数が多いほど研究職はうまくいく!」という類の話ではありませんが、僕が企業で研究職を数年経験して感じたことをまとめます。
数分で読み終わりますし、「これから研究職の門を叩きたい!」という方はぜひご一読ください。
「企業研究職ってこういう人がいるのか」というイメージが湧くはずですよ。
目次
研究職に向いていると思う人の特徴7つ
僕が「こういう人は企業研究職に向いているな」と思う特徴は以下の通りです。
- 研究以外の職種にも興味を持っている
- 情報収集(論文や特許など)が苦じゃない
- ルーティンワークが苦手
- 自分の研究結果が本当かどうか誰よりも疑う
- コミュニケーション能力に長けている
- 真理の追究よりもモノづくりの方がやりたいと思っている
- とりあえずやってみる精神
順々に説明していきます。
研究以外の職種にも興味を持っている
企業研究職に向いていると思う特徴として「研究以外の職種に興味を持っている」が挙げられます。
なぜ他職種にも興味を持つ人が企業研究職に向いているかと言うと、少なくとも国内企業では職種変更を伴う「異動」があるから。
具体例を挙げると、以下のような社内ジョブチェンジは普通にあります。
- 研究 → 開発
- 研究 → 人事
- 研究 → 広報
- 研究 → 知財
- 研究 → 技術営業
- 研究 → 企画(研究系)
この予想だにしないジョブチェンジがあった時、「自分は研究だけしかやりたくない」と思ってしまう人は企業研究職には向いていないかと。
断言しますが、一生研究だけやりたいなら絶対アカデミアに進むべきですね。
企業は「研究をする所」ではなく「モノをつくる所」なので、研究はあくまでモノづくりの“ツール”でしかありません。
それゆえ研究を「人生」ではなく「ツール」として捉えられる人。
もっと言えば研究で得た経験や知識を他職種でも存分に活用できる人。
こういった人は企業研究職に向いていると考えます。
情報収集(論文や特許など)が苦じゃない
情報収集が苦じゃない人は企業研究職に向いています。
なぜなら企業研究職では「論文」に加えて「特許」や「ビジネス」などの最新情報も仕入れる必要があるから。
情報を調べるのが苦だと感じてしまう人だと、企業での調べ物の多さに精神が削られる可能性があります。
企業だと「論文」を読むだけでは当然使い物にならず、競合他社の特許情報を徹底的に調べたり、世界情勢も逐一チェックしていく必要があります。
もちろん企業だと情報収集をシンクタンクに依頼したりもできますが、毎回毎回依頼すると膨大な費用がかかってしまうので現実的ではないです。
それゆえ情報収集が苦ではない人、もっと言えば情報収集でワクワクできる人が企業研究職向きと言えます。
ルーティンワークが苦手
ルーティンワークが苦手という人は企業研究職に向いています。
なぜならルーティンワークが苦手であればあるほど、そのルーティンワークを「誰かにお願いしようかな…」と思う回数が増えるから。
実はこの「誰かにお願いしようかな…」という思考が大事で、この思考を持っている人ほどルーティンワークを派遣社員さんにお願いできます。
その思考は結果的に、“自分が本来やるべき仕事”に取りかかる時間を増やすことが可能。
研究をやっている人の中には「自分でやらないと結果が信用できない」とか「間違えられると時間が無駄になる」と考える人がいます。
もしくは「ルーティンワークを誰かに任せるなんて申し訳ない」と思っている人も。
確かにその考えは間違っていません。
自分のスキルに誇りを持っていることの証明でもあるし、他人を思いやる気持ちを持っていることの証明でもあります。
でも「人に任せて自分の時間を創りだす思考」がないと、いつかジリ貧になって本当にやりたいことをやれなくなります。
個人的価値観ですが、自分で評価系などの立ち上げをやって何度も再現性が出るまで仕上げたら、後は派遣社員さんにお任せした方が良い。
それを任せることによって派遣社員さんのスキルアップにもなりますし、自分の時間もできますからね。
企業では「これ自分じゃなくてもできますよね?」と主張できると、むしろ“生産性向上”の意思があって評価されることもあります。
ルーティンワークが好きでずっとやっていたいという人よりも、どんどん誰かに任せたいという人の方が企業研究職に向いています。
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自分の研究結果が本当かどうか誰よりも疑う
自分が出した結果に対して「これ本当か…?」と誰よりも疑える人は、企業研究職に向いています。
なぜなら企業研究職は自分が出した結果によって、非常に多くの人を動かす可能性があるから。
例えば、自分がこれまでに知られていなかった現象を見つけたとします。
「この化合物Aを加えると、マウスが老化しなくなるぞ!」みたいなものだと仮定しますね。
もしこの結果が真実であれば会社としては大喜びで、研究ステージから開発ステージにすぐ挙げたいと思うでしょう。
が、研究者の中には「一度出した結果だけ」で、その結果がさも真実のように触れ回る人が一定数います。
再現性を取ることもなく、「自分はスキルがあるから一回やるだけで十分」と言っちゃう人が。
開発や生産部門の人はこちらの研究詳細に興味はなく、それが使えるか否かしか興味がありません。
なのでその怪しげなデータでも信じてしまい、実際に開発や生産が動いてしまう危険性があります。
もしその結果が間違っていたら、正直なところ、研究者として二度と信頼されなくなります。
どんなに良い結果を出しても「どうせまた間違っているんでしょ?」と言われるようになるでしょう。
それゆえ、自分自身の結果を誰よりも疑える人は企業研究職に向いていると考えます。
「これだけ再現性を取ったんだから間違いない!後は任せた!」と言える人が研究職に就くべきですね。
コミュニケーション能力に長けている
コミュニケーションスキルが長けている人は企業研究職に向いています。
なぜなら非研究職の文化や価値観を理解して、彼らにわかりやすく研究を理解してもらう必要があるから。
これは僕が大学研究をしていた時にはわからなかった感覚で、大学研究は「ある程度研究に興味がある人」に研究を伝えることが多いですよね。
でも企業研究はむしろ「研究に全く興味が無い人」に研究を伝えることが多いんです。
開発部門ならまだ研究に興味があったりしますが、生産部門や事業部門(文系が多い)になるとほぼ興味ゼロです。
「で、それはつくれるの?」
「で、それは売れるの?」
という文化の人に研究を理解してもらうのは中々困難…。
でも“研究がわからない人”にわかるよう伝えないと研究職は務まらないというのが現実。
それゆえにコミュニケーションスキルが必要になります。
開発部門が欲しい情報は?
生産部門が欲しい情報は?
事業部門が欲しい情報は?
こういった「相手の目線に立った情報共有スキル」を磨くために、現場の人と飲みに行って現状の課題を聞くことも多いですね。
それゆえ異なる文化や価値観を受け入れて柔軟に対応を変えられる人(=コミュニケーションスキルが高い人)は研究職に向いています。
真理追究よりもモノづくりの方がやりたいと思っている
まだ明らかになっていない真理を解明するよりも、モノづくりのための研究がしたいと思っている方は研究職に向いています。
例えるなら「タコの足はなぜ8本なのか?」を解明するのが大学研究。
「たこ焼きのコストを下げるためにタコの足を10本にする方法はないのか?」を研究するのが企業研究。
ではもう一つ例を挙げると「なぜ人はガンになるのか?」を解明するのが大学研究。
「このターゲットを攻めればガンを倒せないか?」を研究するのが企業研究です。
イメージですが、Why?(なぜ?)を追求したい人は大学向き。
What?(何を?)やHow?(どうやって?)を追求したい人は企業向きだと思います。
企業研究職を何年かやってわかりましたが、大学研究と企業研究は全く別物です。
自分の研究成果を商品化に繋げたい人は、企業研究職向きだと考えます。
とりあえずやってみる精神
「とりあえずやってみる精神」を持っている人は企業研究職に向いています。
もっと言えば“闇実験”が好きな人は企業向き。
なぜなら企業での新規テーマ提案の際には「テーマの妥当性を示す予備データ」が必要になってくるからです。
最近は企業も新規研究テーマに対する目が厳しくなっており、何の予備データもなく新規テーマが承認されることは少なくなってきたと感じます。
予備データである程度仮説の妥当性を示して、ようやくテーマ承認のステージに上がれる感じです。
それゆえ「新規テーマを提案しよう!」と考えている人は、裏で色々な人と結託して情報(市場性)調査や闇実験をしている人が多い。
僕は業務後にカフェに行って論文を読んだりするのですが、読んだ論文から「あ、来週試しにこれやってみよう」と閃くことが多いです。
結果がどうなるかはやってみないとわからないけど、とりあえずやってみる実験がけっこうあります笑
もし面白そうな結果が出たら、さらに闇実験をして闇を広げていく感じですね…笑
で、ある程度の実験結果が貯まったら過去の知見もセットで「こんなことやりませんか?実はデータもあります」と提案する。
こんな感じで「とりあえずやってみる精神」は企業研究職に必要な要素だと感じます。
「与えられたテーマだけでは満足できない!」
「自分で考えたテーマじゃないと面白くない!」
と内心思っている方、ぜひ企業研究職へ。
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研究職に向いている=研究業績がたくさんある、ではない
というわけで個人的に考える「企業研究職に向いている特徴」は以上です。
ただ当記事を読んでくださった方にお伝えしたいのは、「研究業績がたくさんある」=「研究職に向いている」とは限らないということ。
僕も研究職に内定をもらえたのは“ファースト論文”があったからかな?と思っていましたが、内定式で全然違う理由を聞かされましたので笑
博士卒は専門性が当然求められますが、修士卒は研究というよりも価値観や課題に対する取り組み方を見られている気がしますね。
「業績がないから研究職は無理かな…」と考える必要はないので、研究職に興味があるならとことん挑戦してみましょう!
というわけで当記事は以上です。
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ではではっ