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■修士卒で研究職に就いた人はどんなことを普段考えているの?
■修士卒研究職が将来生き残るために意識すべきことって何?
こんな悩みを解決できる記事を用意しました。
ここで解説する『修士卒研究職が企業で意識して狙うべき/磨くべきこと』を試せば、あなたの「研究を活かした職種領域での市場価値」は高まります。
かつ修士卒研究職に就くために意識すべきことも合わせて理解できるようになっています。
なぜなら当記事では、僕が企業研究職として3年以上の経験を積んだ上で『これは絶対に必要だ』と確信することを紹介するからです。
この記事を読めば『修士卒研究職として求められることは?』という疑問はなくなるので、じっくり読んでみてくださいね!
なお記事中で『あなたのキャリアに役立つ有用書籍』も紹介しているので、ぜひ最後までご一読ください!
目次
修士卒研究職が意識して狙うべき/磨くべきこと9選

『修士卒研究職が企業で意識して狙うべき/磨くべきこと』は以下の通りです。
順々に説明していきますね。
博士号(Ph.D)

研究職として配属される/された修士卒は、入社1年目から「博士号(Ph.D)取得」を考えた行動を取るべきです。
なぜなら自身の経験則として、以下のようなことがあったからです。(海外での話)
- 「博士号持ってないの?」と怪訝な目で見られた
- 「博士号を持っていない人の留学は受け付けていない」と言われた
社会人になってみて強く感じたのは『1つの専門職としてキャリアを積む上で「資格」は非常に大事』だということ。
例えば知財なら「弁理士」、法律なら「弁護士」、経営なら「MBA」、医者なら「医師免許」という資格は重要ですよね。
それは研究も同様だと思っていて、『研究という専門職を歩むのであれば「博士号」という資格が必要』だと実感しました。
博士号ありでも研究職に就けない方がいるのも事実なので、個人的には以下のようなルートを歩むのが良いと思っています。
■絶対に研究しかしたくない
→何が何でもアカデミアの道に進むべし。
■研究職以外に異動になったら、すぐにでも別会社の研究職に転職する覚悟がある
→博士号を取得してから企業への道に進むべし。
■研究職以外の職種でも良い。研究職に就けたら嬉しいけど(僕はこれでした)
→修士で研究職を狙い、研究職に就けたら博士号を狙うべし。
→それ以外の職種だったら思考を切り替えてキャリアを描くべし。
■研究・開発・生産・技術営業など職種にこだわりなし
→学士・修士で何が何でも企業に入るべし。サラリーマンは“研究”だけにあらず。
仮に修士卒研究職として配属された場合は『入社してすぐ「博士号」を取得する準備を始めるべき』ですね。
『とはいえ博士号取得って何をすれば良いの?』という方は、以下のようなことを意識して研究をしましょう。
- 「博士号を取りたい」と上司に言い続けて理解を得る
- この研究(=仕事)を論文化するにはどんなデータが必要か?
- 研究成果を論文化する“会社へのメリット”は?
- 大学との共同研究を組むことができるか?(後述)
- 博士号を取るとしたらどのような方法があるのか?
ちなみに社会人博士に関しては以下の記事が参考になったので、こちらも是非ご覧ください。

>>「修士卒研究職が意識して狙うべき/磨くべきこと」一覧に戻る
大学との共同研究(博士号取得率アップ)

修士卒研究職として入社したら『大学との共同研究が組めないか?』は常に意識すべきですね。
理由は2つあります。
- 自社にないスキルを有する研究室と組めば研究が加速できるから(会社視点)
- 共同研究の成果を論文化することで博士号取得率が大幅に高まるから(自分視点)
企業にとって今や“オープンイノベーション”は当たり前と言っていいです。
実際にNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が発表した資料によると、民間企業との共同研究は年々右肩上がりだとわかります。

共同研究を組んだ方が自社でゼロから技術を創るより効率が良いため、企業としても共同研究は是非組みたいと思うもの。
また、大学と共同研究を組むと成果を論文化しやすくなります。
こちらのゴールは「特許化→製品化」ですが、大学側のゴールは「論文化→次なる研究」ですからね。
会社の利益を考えた共同研究が大前提なのは言うまでもないですが、『修士卒研究職は積極的に共同研究を提案するのがおすすめ』ですよ。
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副業意識(別収入源)

修士卒研究職に限ったことではないかもしれませんが、副業意識を持って別収入源をつくることは非常に大事です。
なぜなら『会社に忠誠を捧げればリストラにならずに自分と家族を守れる時代』は終わったからです。
例えば昨今、以下のような様々な業界で『リストラ・希望退職の嵐』が吹き荒れています。
このような状況を考慮すると、今やるべきは『良い企業で安定を求めること』ではなく『世界のどこでも生きていける人財になること』です。
今やサラリーマンでも、副業で月に100万円以上稼ぐ方も登場してきています。
『会社でリストラされたくないから上司の言うことに従っていよう』という受動的な状態では、いつリストラになるかわかりません。
自ら道を切り開くためにも、会社に入って2~3年して余裕ができてきたら是非『本業+α』に目を向けていくべきですね。
なお、僕は『研究者はブログが向いている』と思っているので日々取り組んでいます。
なんで研究者はブログが良いの?という理由を知りたい方は、ぜひ以下の記事もご一読いただければと思います。
もちろんブログに限る必要はないと思いますが、いずれにせよ『別収入源』は社会人になってから早めに意識したいところですね。
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海外留学(語学力)

修士卒研究職はぜひ積極的に『海外留学』を狙うべき。
“海外経験”という経歴が1つ増えますし、それに伴った人脈も一気に増えるからです。
また“語学力”をほぼ強制的に鍛え上げられるのも魅力的ですよね。
例えば僕の知り合いで研究留学を経験した人は、異常なほど語学が堪能になって帰ってきています。
もちろん『語学力を磨くだけなら海外に行かなくてもできる』という意見があるのもわかります。
実際に自分の周りでも『レアジョブ』や『ネイティブキャンプ
しかし海外留学は、それらツールを活用するよりも遥かに語学力向上に貢献してくれます。
修士卒研究職はいかに早く”自分の強み”を獲得するかが大事なので、海外留学を活かして“語学力”を強みを変えるのは有効すぎる戦略。
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特許数と論文数(実績)

修士卒研究職なら『特許数と論文数(≒実績)』を特に意識して日々仕事をするべし。
というのも研究職としてこれほどわかりやすい実績はなく、これらは社内外で使えるわかりやすい指標になるからです。
たとえば転職ツール『Linkedin』や『ビズリーチ
■知り合いA:特許数と論文数が豊富で、かつ社内評価は普通
→定期的に転職エージェントから「案件」の連絡が来る。
■知り合いB:特許数と論文数はほぼ無いが、社内評価は高い
→転職エージェントからの連絡はほぼ来ない。
前項で述べたように、これからは『世界のどこでも生きていける人財』を目指すべきで、知り合いBのようになるのは避けるべきです。
確かにPh.Dの有無、語学力、実験スキルなど、社外にアピールできる要素は多々あります。
でもそれらは『成果を出すための資格・スキル』であって『成果』ではないことに注意。
研究職が上記資格やスキルを積み上げるのは『特許&論文を出すため』ではないでしょうか。
実際ところ、研究職は開発職や営業職などと比べて、「○○千万円のコストダウンに成功」や「○○百万円/月の販売実績を達成」など誰が見てもわかりやすい定量的成果をつくりにくいです。
「新しい評価系を作った!」などとアピールしても、それは社内になかっただけでベンチャー企業で数年前に開発されてる…とかもあります。
資格やスキルも激しく大事ですが、修士卒研究職は『目に見える成果』にはとことんこだわるべきですね。
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実験スキルと知識(経験)

修士卒研究職は『実験スキルと知識(論文・特許・最新トレンドなど)』を常に磨き続けましょう。
最新の実験スキルと知識の獲得は、博士号有無に関係なく求められることであり、やればやるほど差がつきます。
一例ですが、以下のようなことを日々意識するのがおすすめ。
<実験スキル>
■既存の実験系がもっと短時間でできるようにならないか?
■自分が構築した実験系を効率化する新製品が出ていないか?
■自分が構築した実験系を他の人に委託できないか?
<知識>
■毎日必ず1報以上の論文・特許・社内研究情報に目を通す
■毎日自分が担当する研究領域の市場トレンドをウォッチする
■『自分の専門外領域』の最先端もウォッチする
なお『毎日情報をインプットし続けるのが大変』というあなたは、インプットした情報をSNSで日々発信するのが良いですよ。
例えば以下のように、自分が目を通した論文を日々発信しているとバズッたりすることもあります…!
これは凄いぞ…!
全身麻酔が効くために必要な脳内神経領域が同定されました!(neuron)驚くべきはこれら神経が“活性化”することで全身麻酔が効くという事実。麻酔なんだから“抑制”ではないの!?
あとこの脳内領域を破壊するとマウスは眠りにつけなくなるらしい。怖いな笑https://t.co/ItSWOYnBex
— くりぷとバイオ (@cryptobiotech) April 20, 2019
この1ツイートでフォロワーさんが500~600人増えました…SNS恐るべし。
これからはSNSでの発信力(≒個の発信力)も重要になってくるので、得たものはどんどん世の中に還元してきましょう!
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社内外の繋がり(人脈)

修士卒研究職は『社内外の繋がり(≒人脈)』を構築しましょう。
人脈は『自分ができないこと』にトライするきっかけを生み出してくれます。
人脈形成には色々な方法がありますが、以下のようなイベントには研究職として積極的に参加するようにしています。
■各種学会
■研究とビジネスを繋ぐイベント(国内外問わず)
例①:BioJapan
例②:イノベーション・ジャパン
例③:epiST Summit
人脈が広がってくると『この分野に興味があるけど調べてる時間が…』という悩みをスッと解決できたりします。
また以下の名著(個人的に)でも、次のように『人脈の重要性』が語られています。
キャリアは20代は専門性、30代は経験、40代は人脈が重要。
人脈はすぐに構築できるものではないので、入社時からコツコツと意識していくべし。
『修士卒だから研究の専門性がなくて…』と悩む人は、自分の足を使って“専門性がある人”と繋がりをつくってしまうのが吉。
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マネジメントスキル(育成力)

修士卒研究職として入社した後は、早い段階で『マネジメントスキル』を磨きましょう。
入社して2~3年すると自分の仕事にも慣れ、「もっと色々な人を巻き込んで実用性のあるテーマを創出したい」と思うようになります。
その際に後輩や派遣社員の方と一緒に研究をすることになりますが、その際に「マネジメントスキルは必要だなぁ」と切に感じます。
あと僕は『自らの市場価値の把握』のため複数の転職サイトに登録していますが、各社の応募資格で以下のような文章を見ることも多いです。
<内資企業>
■研究開発のプロジェクトリーダー経験がある方
<外資企業>
■Experience in partial project management and team leadership is preferred
- 自身が担当するテーマの実験を派遣社員の方に委託し、「自分の手を動かさずに」成果を創出する仕組みをつくる(作業ではなく、創造に時間を割く)
- 部署の仲間の体調変化を日々意識し、何か問題ありそうと感じたら声掛け&サポートする
- 自身で新規テーマを提案して承認される(≒自分がテーマリーダーになる)
また、マネジメントスキルは書籍から学ぶことも可能です。
例えば以下に紹介する書籍は、マネジメントスキルを磨くために僕が何度も読み返しているものです。
読めば読むほど学びがあるので、読まれたことがない方は是非手に取ってみてください。
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人生の伴侶(結婚とっても大事)

修士卒研究職として日々業務をこなす上で『人生の伴侶』は極めて重要だと断言します。
『心から信頼できる人/守るべき人』がいると、仕事に一層取り組めるようになります(実体験)。
僕は入社して比較的すぐに結婚しましたが、結婚後は確実に『仕事への責任感』が増しました。
会社での理不尽なことに対して『ここで逃げ出したら家族を幸せにできない』という感情を持っていられるのは、会社生活において最強の武器になります。
入社して1~2年は同期も未婚が多いので結婚を意識しない人も多いですが、入社3年目以降から一気に結婚する同期が増えます。
そうすると今まで仲良く遊んでいた同期と一緒にいる機会も減り、寂しさを感じるようになるそうで…(同期談)。
『人生の伴侶』は極めて大事なので『周りもまだ結婚してないから良いや』と思わずに早めに動き出すのが良いですよ!
皆さんけっこう水面下で動いていることが多いので…笑
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修士卒研究職は「博士卒に対抗できる実力とは?」を自問して挑戦し続けるべし

上記で紹介した『修士卒研究職が企業で意識して狙うべきこと/磨くべきこと』を意識してもらえれば、あなたの市場価値はどんどん上がっていきます。
最後にもう一度だけ復習しましょう!
修士卒研究職が市場価値を高めるためには?
- 入社時から『博士号取得』を意識する
- 会社の利益を、そして自分の将来を考えた共同研究を狙う
- 自分のスキルを活かした複数の収入源を持つ
- 海外留学で語学力を一気に向上させる
- 特許数と論文数にこだわり、会社も自分も評価を高める
- 実験スキルと知識を“最先端”にし続ける
- 社内外の繋がりを構築する
- 若いうちからマネジメントスキルを意識する
- 早い段階で人生の伴侶を見つけ、仕事に没頭する
これから研究職に就く修士課程の学生や、まだ入社したばかりの新人の頃は、上記を全て意識するのが難しいかもしれません。
しかし少しずつ慣れればいつの間にか『市場価値の高い人財』になれるので、ぜひ当記事を何度も読み返してみてくださいね!
『修士卒だから…』と博士卒の人に引け目を感じず『どうやったら対抗できるのか?』と常に意識して行動していきましょう!
というわけで当記事は以上です。
なお『研究職の実態(リアル)』に興味がある方、研究職に就きたい方は、ぜひ以下の2記事にも目を通してくださいね!