仮想通貨の全銘柄評価結果はこちら!
               

【論文9】ついに血液検査でアルツハイマー病を診断できる時代に?

 

人間を不幸に陥れ、なお命まで奪う主要な疾患に「ガン」、「認知症」、「脳・心疾患(脳梗塞・心筋梗塞など)」がある。その中でも認知症は、超高齢化社会に突入している日本にとって、解決しなければならない最重要課題の一つだ。

 

認知症の半分近くを占めるのがアルツハイマー病である。この疾患はアミロイドβ(Aβ)という脳に蓄積する物質を測定することで、発症の10~15年前からその兆候を知ることができる。それほど前に発症を予測できれば、嫌でも自らの生活習慣(食生活、運動、睡眠など)を改善して発症を遅らせる行動を習慣づけられるし、高齢者の方々に健康的な生活を送っていただくことができるため、良いことづくしである。

 

ただしそれを判断するための手法は現状2つしかない。1つはPETを用いて脳内イメージングを行い、アミロイドβの蓄積量を可視化する方法。もう一つは脳脊髄液中に含まれるアミロイドβを測定する方法である。前者は通常のPET診断とやっていることは変わらないので、手軽にやってみようかなと思えるが、いかんせん値段が高い。例えばPET-CTを例に挙げると保険適用されたとしても1回30000円~40000円はかかる。この値段を聞いて尻込みしてしまう方はかなりいるのではないか。私もそのうちの一人である。一方、後者はPETほどの費用負担はかからないためおススメかもしれないが、いかんせん侵襲性は高い。お恥ずかしながら自分は後者を経験したことがないため偉そうなことは言えないが、やったことがないからこそ「怖い」という気持ちがものすごく強い。できればやりたくはない。個人的主観が入ったが、そういった背景から、より簡便かつ低コスト、低侵襲性の診断法が望まれていた。

 

今日紹介する論文はついにそれを実現できるかもと期待を抱かせる論文で、Natureに掲載された。タイトルは「High performance plasma amyloid-β biomarkers for Alzheimer’s disease(アルツハイマー病の高性能血漿アミロイド-βバイオマーカー)」で、ノーベル賞を受賞された田中耕一さんも名を連ねる。

 

これまでに血液からアルツハイマー病を予測診断する方法に関しては2014年あたりからいくつか報告されていたが、上記2つと比べると精度がどうしても足りない。また、測定の基準ともなるバイオマーカーに関しては「これだっ」というものも見つかっていなかった。

 

本論文ではなんと、免疫沈降法とマススペクトロメトリーの手法を組み合わせて、新しいバイオマーカーではなく、血漿中のAβ1-40, Aβ1-42, APP(amyloid-β precursor protein)669-711の存在比率からアルツハイマー病を高精度予測できることを見出した。これら存在比率を用いて診断した結果は、PETや脳脊髄液による診断と良く相関しており、AUC = 87.6%, sensitivity = 100%, specificity = 69%, accuracy = 80.4%と精度も高かった。

 

既存のAβ関連物質からこれを為しえたのが論文のハイライトであり、一体これを見つけるためにどれほど多くの物質を検討したのか想像し得ない。諦めずにトライし続けた研究者達の粘り勝ちだ。また今後の展望として、この解析手法と医師の確定診断データをAIに順次追加していけば、ヒトが異常と判別できない物質群のバランス比からより正確な診断をすることができるようになるかもしれない。この技術が一日でも早く我々一般人にも普及することを強く期待したい。

 

 

※最後まで読んでいただきありがとうございました。

ブックマーク、コメント、読者登録、とても励みになります。

これからもよろしくお願いいたします。